金正恩総書記が錦繍山太陽宮殿を参拝

金正恩総書記が錦繍山太陽宮殿を参拝

李雪主夫人らとともに太陽宮殿を訪問した金正恩総書記(提供 コリアメディア)

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は4月15日、故金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念日「太陽節」に際し、錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を参拝した。朝鮮労働党機関紙・労働新聞が報じている。

 錦繍山太陽宮殿は金日成主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されており、北朝鮮にとって重要な施設の1つである。

 金正恩総書記は、元日や「光明星節」(2月16日、金正日総書記の生誕記念日)、金日成主席の命日(7月8日)、金正日総書記の命日(12月17日)に太陽宮殿を参拝しており、恒例行事となっている。

 今回の太陽節(4月15日)も同様で、金正恩総書記は2012年以降、毎年欠かさず太陽宮殿を訪れていた。だが、昨年の太陽節には参拝したという報道がなかったため、健康不安説などの憶測を呼んでいた。

異例の6人だけで太陽宮殿参拝

異例の6人だけで太陽宮殿参拝

今年2月16日(光明星節)に幹部たちと太陽宮殿を参拝した金正恩総書記(提供 コリアメディア)

 さて、今回の錦繍山太陽宮殿参拝には例年と異なる点があった。同行者が少なかったのである。

 参拝には、李雪主(リ・ソルチュ)夫人と、実妹・金与正(キム・ヨジョン)党宣伝扇動部副部長が同行。

 加えて、趙甬元(チョ・ヨンウォン)党中央委員会組織書記、朴正天(パク・チョンチョン)朝鮮人民軍総参謀長、玄松月(ヒョン・ソンウォル)党副部長も随伴した。

 金正恩委員長を入れて計6人による参拝であるが、これは例年と比べると非常に少ない。太陽節に限らず、金正恩総書記の太陽宮殿参拝には党幹部などが多数同行するのが通例であるからだ。

 新型コロナウイルス対策のために「3密」を防止したという見方もできるが、今年2月16日の光明星節に参拝した際には多数の幹部が同行しているため、他に理由があると考えられる。

金正恩総書記とは別に宮殿参拝した崔龍海氏

金正恩総書記とは別に宮殿参拝した崔龍海氏

金正恩総書記とは別に太陽宮殿を参拝する朝鮮労働党幹部(提供 コリアメディア)

 では、他の党幹部たちは錦繍山太陽宮殿への参拝を控えたのかと言うと、実はそうではない。

 「党政治局常務委員会」(最高意思決定機関)に所属する崔龍海(チェ・リョンヘ)氏、李炳哲(リ・ビョンチョル)氏、金徳訓(キム・ドックン)氏などの幹部たちは金正恩総書記とは別に宮殿を訪れたのである。

 党ナンバー2とされてきた崔龍海氏をはじめ、党政治局常務委員たちが金正恩総書記の参拝に同行することは慣習となっていたため、今回なぜ分けて参拝したかは不明である。序列だけで言えば、李炳哲氏や金徳訓氏は、金正恩総書記に同行した朴正天氏たちより上である。

 ちなみに、太陽節に際して行われた記念公演には、崔龍海氏など幹部たちがそろって金正恩総書記と行動をともにしている

 つまり、あくまで参拝時だけ同行者を絞ったのであり、新型コロナウイルス対策ではないことは明らかである。
 

過去数回しかなかった李雪主夫人の太陽宮殿参拝

 今回、同行者の数以外で特筆すべき点は、李雪主夫人が同行したことである。

 李雪主夫人が太陽宮殿参拝に同行したことが確認できるのは2017年が最後であり、それまでも宮殿参拝は数回しか報じられていない。

 金正恩総書記が李雪主夫人と金与正副部長とともに並んで参拝していること自体、非常に珍しい。現時点では、これら変化の理由を推測することは困難だが、新しい参拝様式や金正恩体制の変化の可能性もある

 例年通りであれば、金正恩総書記は7月8日(金日成主席の命日)に参拝するため、その際の同行者にも注目したい。

八島 有佑

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