情報収集のティックトックと監視のウィーチャット
情報収集のティックトックと監視のウィーチャット
新型コロナウイルス後でもデリバリーヘルスアプリは健在だった。
中国人必須のメッセージアプリWeChat(ウィーチャット・中国国内版は微信)。MAU(月間アクティブユーザー数)は、約13億800万人(テンセント・2022年9月)を誇る。
しかし、海外ユーザーを意識したTikTok(ティックトック)と違い、外国人のユーザーは少なくMAU3億人ほどとなる。
微信のMAUは、約10億4000万人(ENJOY JAPAN調べ・2021年9月)となるのでユーザーのほとんどが中国国内の中国人となる。
現在、ティックトックの使用が各国で次々と禁止され締め出しが加速している。
言うなれば、ティックトックは、外国人の情報収集することを目的とするアプリ。
一方、ウィーチャットは、国内を中心に全世界の中国人の監視、管理をすることを目的としたアプリという姿が明確になってきた。
日本では中国版LINEなどと呼ばれるウィーチャットであるが、ベトナムやマレーシアなどでは日本人が想像もしない利用のされ方をしている。
デリヘルアプリとして使われるベトナム
デリヘルアプリとして使われるベトナム
ウィーチャットには、友達ではない周辺のユーザーを検索して表示させる機能がある。インストール時にデフォルトでオンになっている全地球測位システム(GPS)を使った機能だ。
多くのメッセージアプリでは、個人情報保護の観点から、この機能は最初から実装されていなかったり、リリース後に停止されている。
特にベトナムでは、ウィーチャットがデリバリーヘルスアプリとしてコロナ禍前から盛んに利用されていた。
たとえば、商都ホーチミンの観光客が多い1区で「近くにいる人」機能を利用すると、自分の位置情報が周辺のユーザーに表示される。
すると、数分もしないうちに大量のあいさつメッセージが届くのだ。
友達申請が届くので、承認して友達へ追加すると、最初から「60ドル(約8200円)で1時間」など商売熱心なメッセージも少なくない。
自動的に情報チューチューできる
この件は、ベトナム通の間では以前から知られていたのだが、新型コロナによる入国規制が解除された2022年9月でも健在だった。
コロナ禍前と比べると伝えてくる価格が上がったことに加えて、円安ドン高で体感的に1.5倍くらいになったと感じた。
デリヘルアプリとしてのウィーチャットの使い方や注意点などに興味がある人は、別途検索してみてほしい。詳しく紹介している記事が複数ある。
中国政府は、リスクを背負ってスパイや工作員を送り込まなくても、自動的に個人情報を情報チューチューすることができてしまうわけだ。
無尽蔵に集めた情報の中で、これはと思う情報があれば、そこへ絞って調べれば効率はかなりよさそうだ。