「私の個人情報なんて価値はない」?
WeChatデリヘルアプリに MAU13億の個人情報チューチューの続き。
ベトナムでのデリバリーヘルスの場合は、中国政府にとって重要な情報は、女性側ではなく、デリヘルを利用する男性側になるのだろうか。
女性の情報も中国にコツコツと蓄積されるので、数年後に中国へ入国した時には、すでに個人情報のデータベースができている…となっているかもしれない。
日本で話題となった中国発の越境ECサイト「SHEIN(シーイン)」の記事でも触れたが、シーインを利用する日本人学生などは、「私の個人情報なんて価値はない」と軽く考えている人が多い。
しかし、その人の家族、友人、友人の親、親戚まで広げたり、もしかすると、10年後に国家公務員や国会議員とコネクションを持つかもしれない。
もちろん、当人が大出世したり、インフルエンサーになったりする可能性だって十分に秘めている。
中国は砂粒から金塊を作るためにコツコツと情報を集積している。
自身では無価値と思っている個人情報も、情報チューチューのプロからすると宝の山になる。まさにデジタル錬金術だ。
無意味な点を集積して意味ある線に変える中国
アプリなどを使ったサイバーセキュリティに詳しい研究者へ話を聞くと、
「中国は点のような単独では意味がない情報を大量集積することで意味がある線、ビックデータ化させています。たとえば、私が3月9日、秋葉原のヨドバシカメラにいたという情報があるとします。それ単体だと特に意味がない情報ですが、1週間に5、6日も秋葉原や同じ場所にいたとしたら、この人物は秋葉原で仕事をしているか、住んでいるとなるわけです。もし、滞在時間帯が早朝や深夜であれば自宅。昼間であれば、職場か仕事と分析されていくのです」
ベトナムでWeChat(ウィーチャット)を使ってデリヘルを利用した人が、中国政府にとって利用する価値があると判断したら脅しの材料に使ってくることもできるわけだ。
仮に中国へ渡航しなくても、中国ができることは無数にあると、前出の研究者は話す。
バックドア付きと各国にみられているTikTok
TikTok(ティックトック)にもバックドアが組み込まれていて、アプリ情報だけでなく、通話履歴、電話帳、保存されているメールアドレス、クレジットカード、マイナンバーなど個人番号、位置情報など端末内のありとあらゆる情報を情報チューチューしている可能性が高いと各国の情報機関はみているわけだ。
もっとも、仮にティックトックを世界各国が締め出しても、次のティックトックが誕生するだけなのではあるが…。
ウィーチャットと同じような国内監視や管理にも利用できるメッセージアプリは、北朝鮮も開発していると言われる。
国際的な状況が許されるようになれば、北朝鮮は高いコストを払って世界中へ工作員を送り込まなくても、アプリ1つで中国のように堂々と情報チューチューができるようになるわけだ。
近い将来、北朝鮮製のアプリが世界中を席巻する日が訪れない、とは決して言い切れない。