加えて、北朝鮮の対米政策の歴史について、「冷戦時、北朝鮮は『帝国主義滅亡論』を唱え、将来、米国は亡びると本気で考えていた。しかし、1970年代、米中接近により目標が『米国の滅亡』から『米国との妥協』へと変化し、北朝鮮は米国に対し、平和協定の締結と在韓米軍撤収を求めるようになった。一方、米国の北朝鮮に対する最大の関心事項は核・ミサイル問題であった。1990年代、北朝鮮は核兵器開発疑惑を利用して米国を対話の場に引きずり出すことに成功したが、ブッシュ政権誕生により戦略を変えざるをえなくなった。その結果、『核兵器による抑止力』、『米国を対話に引きずりだす』という目的のために、核保有の道を進むことを決意し、2006年に第1回核実験を決行した。その後、オバマ政権の『戦略的忍耐』により核武装はさらに進展した」と分析した。

 その歴史を踏まえた上で、「北朝鮮の核武装は、米国との全面戦争を念頭に置いているのではく比例的抑止である。核兵器の大量保有は戦略上無意味であり、抑止力の完成後、対話路線への転換は必要であった。米国にこれまでの大統領とは様々な意味で異なるトランプ政権が誕生し、韓国では南北対話に積極的な文在寅政権が米朝の橋渡しをになった。金正恩党委員長にとって核放棄と引き換えに米朝平和協定を結ぶには絶好のタイミングであった」として、北朝鮮の政策転換は経済制裁が主要因ではなく元々の戦略であるとした。

北朝鮮の核廃棄は本当に実現するのか?

 中川氏は、「金正恩党委員長は核抑止力を捨てると公言しており、米国の動きによって撤回する可能性は否定できないが、少なくとも現時点で非核化に本気であるといえる。トランプ大統領は自身が政権を握っている間に北朝鮮の核廃棄を実現させるという考えであり、あまりマスコミには取り上げられていないが米朝会談後の記者会見で、『北朝鮮は核廃棄の工程の2割くらい進めば後戻りはしないだろう』と発言しているため、楽観的なのかもしれない」とし、北朝鮮の核廃棄についてある程度順調に進むのではないかとの見解を示した。

立山達也

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