朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の表記や呼び始めたのは札幌オリンピック以降

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の表記や呼び始めたのは札幌オリンピック以降

NORTH KOREAとSOUTH KOREAと表記されているフィリピンの地球儀

 30代以上の方なら、かつてテレビや新聞など主要マスメディアが北朝鮮を正式国名である「朝鮮民主主義人民共和国」と呼んでいたことを覚えているのではないだろうか。いつの間にか、ほぼすべてのメディアが北朝鮮と呼ぶようになっている。

 では、いつから日本では北朝鮮と呼ぶようになったのかを振り返ってみたい。

 日本では、札幌オリンピック以降、新聞では、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)として、以降は北朝鮮の呼称を使い、テレビでは、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国と紹介し、同じく2回目以降は北朝鮮を使ってきた。これは、札幌オリンピックのときに、朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)が正しい国名を使うようにとの申し入れを受けての対応とされる。

小泉訪朝がきっかけで慣例が破れ北朝鮮に

 その慣例が崩れたのは、2002年9月の小泉純一郎首相と金正日総書記の直接会談で金総書記が日本人拉致を認め謝罪した、いわゆる小泉訪朝が契機となり、同年秋以降、各社、北朝鮮のみの呼称を使うようになって今にいたる。

 大手メディアで最初に慣例を破ったのは、「読売新聞」とも「産経新聞」ともいわれるが、「朝日新聞」と「NHK」が呼称変更したときには保守派の論客たちから理由を説明しろと批判を受けている。

 ちなみに、朝日新聞は呼称変更の理由を紙面掲載している。1つ紹介しておくと(北朝鮮との呼称を使わなかったのは)「中国、韓国のように関係者が納得するような呼び方がなかったから」だそうだ。

 中には、北朝鮮を国家承認していなかったからという見解もあるが、それは説得力が乏しい。なぜなら、国家承認をし国交を結んでいる国でも「North Korea」と表記し、呼んでいるからだ。なぜ、North Koreaは問題なくて、北朝鮮はダメなのか。理由としては弱い。

諸外国では北朝鮮を何と呼んでいるのか?世界で唯一朝鮮と呼ぶのはあの国

 では、日本以外の国が北朝鮮をどう呼んでいるのか見てみると、まず、世界で唯一朝鮮と呼んでいる国が中国だ。地域地図では、朝鮮民主主義人民共和国と正式名称で記載し、世界地図では、朝鮮と表記する。

 韓国は、ご存知の通り北韓と表記し、新聞では漢字で「北」一文字で表記することもある。

 同じ漢字圏の台湾では、韓国と同じく北韓と表記する。香港は中国同様に朝鮮、その下に、D.P.R.KOREAと表記する地図が一般的だ。アメリカは、当然ながらNorth Korea。タイやベトナムなどの英語の世界地図を見ると同じくNorth Korea。ドイツ、フランスなども英語North Koreaからそれぞれの言語で表記されている。

正式な英語の略称はDPRK。今後、日本での呼び方に変化は?

 日本人が北朝鮮へ行って現地ガイドに北朝鮮と言うと、朝鮮と”指導”されるのは訪朝者の間では有名な話だ。北朝鮮では、自国のことを朝鮮または共和国と呼んでいる。また、正式な英語略称は、DPRK、または、D.P.R.Korea(Democratic People’s Republic of Korea)となる。確かに北朝鮮は正式名称ではないため日朝関係が進展して、適切な呼称に変わることもあり得る。現在も、朝鮮総連の関係機関や友好団体などでは、北朝鮮ではなく、朝鮮または共和国と呼び続けている。 

参考サイト
北朝鮮はなぜあのようによばれているのか?
「北朝鮮」という呼び方
朝日新聞、NHKは北朝鮮と呼称変更した正式な釈明をせよ 曽野 綾子

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