帰国後の報道が途絶えた北朝鮮日本人拘束事件

帰国後の報道が途絶えた北朝鮮日本人拘束事件

9日軍事パレードが予想される金日成広場

 先月、日本人旅行者S氏が北朝鮮で拘束されて28日に開放され帰国以降はこの事件がなかっかのように報じられない。1民間人であることもあるが、3年以上拘束されている安田純平氏のシリアと北朝鮮では情勢や状態が違うという点もあると考えられる。

 出国時の平壌空港や高麗航空機内、北京空港到着直後にも日本のマスコミからカメラを回されていたが、帰国時の羽田空港での映像はなく、記者会見も開かれずとなっているも、日本政府関係者によると帰国直後に河野太郎外務大臣に事情聴取を受け、以降も定期的に政府関係者から聴取を受けているようだ。 

拘束は平壌空港?食い違う拘束場所

 この日本人拘束事件については、先月末に訪中した北朝鮮の観光総局幹部は、S氏は過去に複数回、羅先や平壌を訪れており、そのときにも現地ガイドの指示に従わない行動をしたことなどが問題視されており、マークしていたと明かした。

 実際S氏がどのような状況で拘束されたかはこの幹部も把握していないと言葉を濁すものの拘束されたは出国前の平壌空港だったと話す。これは現在、日本で報道されている南浦で拘束されたとするものとの異なっている。

 また、北朝鮮側はこの事件について日本の多くのメディアが、北朝鮮がS氏を人質したや日朝交渉の材料に利用しようとしたなどの一連の報道に憤慨しており、原因はS氏の観光客を超えた行動であり、北朝鮮は被害者であるが、日朝両国の今後の関係を考えて、寛大な対応した。にもかかわらず北朝鮮が悪いかのような報じ方に強い不満を持っているようだ。異例ともいえる平壌空港や機内でのS氏の姿を撮影許可したのは、北朝鮮側が自分たちの正当性を主張するためだったと思われる。とは言え、現状の北朝鮮を取り巻く環境を踏まえると仕方ない面はある。

北朝鮮への入国停止理由は大雨ではなかった

北朝鮮への入国停止理由は大雨ではなかった

訪朝するアントニオ猪木参議院員が北京へ到着したことを伝える中国国営『環球時報

北朝鮮への入国停止理由は大雨ではなかった

 観光総局の幹部と会った中国人実業家によるとS氏を早期追放して9日の北朝鮮建国70周年に力を入れたという意気込みを感じたという。

 その北朝鮮は大雨によって被害を受けたホテルや観光地、道路を修復することを理由に先月10日から外国人観光客の入国を停止し、今月5日に再開放している。
 
 当初、停止理由は大雨によるとしていたが、前出の観光総局幹部は、大雨ではなく、建国記念日に各国要人や過去最高レベルの外国人観光客が平壌を訪れることに備えて外国人向けのホテルの改修工事をするために入国を停止したと認めた。

 9日の北朝鮮の建国記念日に合わせて過去最高人数規模の外国人観光客が北朝鮮を訪れるとの情報もあり、日本人観光客だけでも50人ほどが訪朝すると見られる。

 9日前後の平壌は、平時に日本人などが宿泊する「高麗ホテル」や「羊角島ホテル」などの特級ホテルに加えて、「西山ホテル」、「青年ホテル」、「普通ホテル」などの1級ホテルも総動員して対応するという。北朝鮮は、まさに昨年春、外国人ランナーが急増してキャパシティオーバーした平壌マラソンのときのような特例オペレーションで乗り切る構えだ。
 

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