ルール違反の無在庫販売で削除と再出品を繰り返す

ルール違反の無在庫販売で削除と再出品を繰り返す

北朝鮮のイベントでは大同江ビール生も売られている

北朝鮮の大同江ビールを持ち込んで転売して書類送検されたワケ(1/2)の続き。

 中国人の男が目立っていたので、「ヤフオク」をプラットフォームにしている出品者などから通報されまくって、削除と再出品を繰り返していたことも彼を目立たせる一因となる。

 「多くのヤフオクユーザーから通報された理由は、彼が無在庫販売をしてたこともあります。無在庫販売はヤフオクではルール違反なんですよ」(ヤフオクユーザー)

 無在庫販売とは、商品落札後に商品を取り寄せてから発送することで、手元に在庫がない状態を指す。書類送検された男は、売れた後に商品を中国から取り寄せていたのだ。

 大同江ビールの販売ページには、「購入後、3、4週間後に届ける」と書かれていた。輸送費が安い船便で送っていた可能性もある。

 無在庫販売は、ヤフオクだけでなく、「メルカリ」や「ラクマ」でも同様にルール違反となる。そのため、多くのユーザーが怒りを覚えて違反者として通報したと思われるのだ。

 「商品が一括で削除されてもされても繰り返し同じ内容で再出品していたので余計に目立ちました」(同上)

 また、購入後の連絡が遅いや商品が届かないなどの理由で、ユーザー評価が悪く、「非常に悪い」が多くつき評価全体は大きくマイナス評価になっていた(ヤフオクは、いい評価と悪い評価が相殺されて表示される)。

酒類とタバコは特に厳しい。高麗人参茶もフリマ上から即削除

酒類とタバコは特に厳しい。高麗人参茶もフリマ上から即削除

2019年4月中旬にヤフオクで3本5000円で落札されていた大同江ビール

酒類とタバコは特に厳しい。高麗人参茶もフリマ上から即削除

 ある北朝鮮グッズコレクターも昨年の秋ごろから該当アカウントをウォッチしていたが、ほとんど落札されていなかったと話す。それらの話からの推測だが、大同江ビールを1万5900円で売っていたなら実際に売れた本数は、数えるほどだったのではないだろうか。

 だとしたら、男が目立ったことが災いしたのかとなるが、どうやら“売ったもの”に問題があったようだ。

 「日本は、北朝鮮への独自制裁で北朝鮮を原産地とするものの持ち込みは、すべて禁止されています。今回の北朝鮮のビールも中国で普通に買えるものではありますが、北朝鮮産には変わりないので禁止対象です。北朝鮮製品でも工業製品が厳しく、その中でも特に、ビールなどアルコール類とタバコの国内流通へ目を光らせているようです」(北朝鮮交易に詳しいジャーナリスト)
 
 ビールやタバコ以外にも北朝鮮製の高麗人参茶などを日本へ持ち込み、メルカリなどへ出品すると短時間で削除される。削除理由は、賞味期限が不明確だったり、品質表示が日本語ではないからとされているが、もしかすると自主規制なのかもしれない。

 「今年の春にメルカリへ高麗人参茶と北朝鮮のお菓子を出品したらすぐに削除されて、さらに24時間のアカウント停止処分を受けました…」(20代女性)

 北朝鮮のホテルや板門店などの土産物店で普通に買えちゃうような高麗人参茶は、ヤフオクやラクマへ出品しても同じく短時間で削除される。
 
 しかし、ヤフオクなどで売られ続けている北朝鮮グッズは存在する。それは、雑誌やバッジ、紙幣、貨幣、ポストカード、切手などだ。これらは大同江ビールや高麗人参茶とは違い削除はされないようだ。
 

紙媒体は各1部のみ日本へ持ち込める

紙媒体は各1部のみ日本へ持ち込める

軍服やバッジ、紙幣、切手など多くの北朝鮮グッズが出品されているヤフオク

紙媒体は各1部のみ日本へ持ち込める

 北朝鮮製品の日本への持ち込みなどについて検査、管轄する経済産業省へ確認すると、

 「『労働新聞』や『画報朝鮮』、書籍など紙媒体のものは個人所有であれば各1部ずつに限り受け取りを許可しています。もし同じ号が2部送られてきた場合は、1部を廃棄して受け取るか、すべて発送元へ返送するかを選択してもらっています」(経済産業省)

 大同江ビールなどをSNSへ載せる人を見かけるが、販売目的ではないのであれば、今回の中国人の男のように書類送検されたりまでは、いたらないと思われる(撮影地が日本だと明確に分かると問題になるかも)。

 北朝鮮情勢は、2018年以降、驚くほど大きく好転していい方向に進みつつある。しかし、国連制裁や日本の制裁はまったく緩和されていない。そのことを頭へ入れてフリマサイトへの出品やSNSへの投稿などをしたほうがよさそうだ。

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