最新スマホ「平壌2423」は500ドル

最新スマホ「平壌2423」は500ドル

北朝鮮のスマートフォンは首都平壌を中心に普及している

北朝鮮スマホユーザー10年間で1694人から600万人超へ 激増するスマホはどう変えたのか?(1/2)の続き。

 北朝鮮でスマートフォンが登場したのは2013年以降で、平壌やその他の地方都市で爆発的にスマホ利用者を増やしてきた。

 初期段階の携帯電話は、中国から輸入されたものだったのが、2013年8月に初の国産スマホ「アリラン」が登場したことで、北朝鮮にもデジタル社会元年が到来したと言える。

 特に2018年に登場した最新スマホ「平壌2423」は、販売価格は約500ドル(約5万4000円)。「CNN」によると、2017年のスマホであるアリランの販売価格は350ドル(約3万8000円)とのことなので価格が大幅に上がったことが分かる。

 CNNの報道では、北朝鮮のスマホの料金体系は従量制で、月額基本料金は3.33ドル(約360円)で、月額基本料金に200分の無料通話が含まれているという。

平壌2423を購入して検証してみた

平壌2423を購入して検証してみた

平壌2423 出典 『魅力朝鮮

平壌2423を購入して検証してみた

 また、北朝鮮を訪れる観光客の間で北朝鮮のスマホは、ロープロファイル(厚さ1インチ=2.54センチメートル)だとの情報が出ているので、編集部で確認するべく平壌で最新のスマホを入手し、2019年3月6日にテストを実施した。

 まず、見た目、外観であるが、韓国で売られているスマホと遜色ないスタイリッシュなものだった。平壌2423のOSには、「グーグル」の「アンドロイド」を採用しており、20の機能(カメラ、動画撮影、レコーダー、コンパス、カレンダー、メモ帳などを含む)と23のアプリがデフォルトで入っている。

 アプリには、「白頭山シリーズ」や「光明書」などの思想教育アプリだけでなく、百科事典、英語と中国語の学習アプリ、ビジネスで使用できるオフィスアプリ、他にも、天気アプリ、エンタメアプリも確認できる。

 この中で、もっとも魅力的なアプリの1つは、「私の旅の友4.1」で、このアプリは、GPS活用アプリ「旅の友1.1」や150ほどのゲーム、24のプログラム、1500冊分の電子書籍、900本の映画・映像、669本の音楽ビデオで構成される。

 本来の電話機能にこれらのコンテンツが加わることで日常品や娯楽としてのスマホへ進化したわけだ。これらのコンテンツのうちいくつかは無料で楽しめるが、好きなものをオンラインで購入するように設計されている。

直撮り写真をシェアしたりオンライン予約やデリバリーサービスも登場

 平壌2423は、ハードウェア自体も優れており、ユーザーが手袋をしたままでタッチできる高機能タッチパネルを採用している。また、13メガピクセルのカメラを搭載し、カメラの仕様で、顔を柔和に、より白く、より薄く、目も大きく撮影することができる。さらに内蔵アプリにより背景色も自由に変えることができる。

 中国や韓国と同様に、北朝鮮の若者は自画撮りをして友人たちと共有するために北朝鮮版SNSへ投稿し、チャットアプリでチャットすることも大好きだ。彼らは、互いにチャットでのやり取りだけではなく、ビデオメッセージやテレビ電話のように使ったりもしている。

 さらには、韓国人と同じように、北朝鮮人も「Okryu」や「Sangyon」などのオンラインショップで買物し、人気のレストランをオンライン予約したり、スマホを使って、デリバリーサービスを頼んだりもしている。
 

スマホは平壌と一部の都市へ集中

スマホは平壌と一部の都市へ集中

平壌2423 出典 『魅力朝鮮

スマホは平壌と一部の都市へ集中

 スマホ登場前は、携帯電話(フィーチャーフォン)自体が送金手段(携帯電話を売却して現金化する)だった時代もあった。それもそれほど昔の話ではない。

 しかし、北朝鮮人が楽しむインターネット上のすべての活動は、完全に北朝鮮政府が管理する通信網の中で行われている。国外へ接続できないので、正確には、巨大なイトラネットとなるが、現在の北朝鮮の状況は、インターネットが普及していなかった90年代の韓国社会で無線通信を監視するシステムだった「千里眼」などイントラネット環境に類似している。

 現実的には、北朝鮮のスマホによる社会変化は、平壌と一部の都市に集中しており、携帯電話やスマホは、都市の郊外や地方ではまったく普及していないとの報告もある。

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