米大統領選挙速報一色の日本。実は日本だけのガラパゴス?

米大統領選挙速報一色の日本。実は日本だけのガラパゴス?

北朝鮮・中国も注目するアメリカ大統領選挙

米大統領選挙速報一色の日本。実は日本だけのガラパゴス?

 日本のトップニュースはアメリカ大統領選挙一色となっている。最新の開票速報が次々と飛び交っている。

 日本は過去のアメリカ大統領選挙でも同様に国内ニュース並みに注目して大きく報じてきたから多くの日本人には違和感はないだろう。しかし、このような状況は、世界的には日本やほんの一握りの国の少数派、実はガラパゴスで、世界の非常識なのかもれない。

 北朝鮮は、日本同様に米大統領選挙の行方を注意深く見守っているも4日の『労働新聞』全6面でアメリカへ言及した記事はなく、国内ニュースを中心に報じている。

 アメリカの新しい大統領がトランプ氏とバイデン氏のどちらになるかは金正恩委員長や朝鮮労働党幹部の関心事であって一般の北朝鮮人には関係ないといったところだろうか。

 北朝鮮の官製報道は、過去の事例から選挙結果のみを国内向けに言及すると考えられるが、どのような論評を発表するのかにも注目していきたい。

反米キャンペーンで盛り上げた中国は謎の戦争映画で再盛り上げ中

 注目のもう1か国、中国はどうなっているのか。経済、貿易での米中対立は深まり、派生した「ファーウェイ」の孟晩舟副会長のカナダでの拘束、「WeChat」や「TikTok」などのダウンロード禁止、双方の領事館閉鎖など対立とともに問題は広がっている。

 中国政府は中国国内の反米喚起キャンペーンを8月末ごろから本格化させて、10月25日の朝鮮戦争中国参戦70周年へ向けて『人民日報』や「中国中央テレビ(CCTV)」等の既存の国営メディアに加えて、SNSや動画共有サイトなど新しいメディアへも官製で反米機運を盛り上げるべく薪を次から次へと投入した跡が見られる。

 現在は朝鮮戦争への中国参戦をテーマにした戦争映画「金剛川」を大々的に取り上げている。しかし、SNSでの盛り上がりと裏腹に実際にこの映画を見たという中国人は驚くほど見つけることができない。これはどういうことだろうか。

選挙報道に神経を尖らせて検閲網を張る

選挙報道に神経を尖らせて検閲網を張る

ウェイボーでの検索結果。30分ほどで640コメントが入っている

選挙報道に神経を尖らせて検閲網を張る

 現在、CCTVやSNS「微博(ウェイボー)」ではアメリカ大統領選挙をトップニュース扱いでは確認できない。「アメリカ大統領選挙」で検索すると、選挙速報がヒットする。

 記事が伝える選挙人数は日本と同じでリアルタムで的確に伝えられている。コメントも数百単位で書き込まれていて、バイデン氏を応援するコメントは見られるが、トランプ氏を応援するコメントは見られない。

 そもそも中国政府は民主主義国の選挙ニュースには相当神経を尖らせて検閲網を張っているふしがある。なんせ中国の主権領土である香港の選挙ニュースですら扱いは小さく、結果だけを片隅で報じるくらいだ。

 つまり、中国政府が民主主義の欠陥を強調するために他国の選挙について大きく踏み込んで報じるものなら選挙自体へ関心が高まり、「どうして中国には選挙がないんだ?」、「なぜ自分たちの指導者を選べないんだ?」と下手するとブーメランとなって中国政府へ襲いかかることを非常に警戒しているとみられる。中国にとって選挙はまさに諸刃の剣なのだ

 実際にSNS上へそのような当然の疑問が書き込まれても、ものの見事にすぐに削除される。中国当局の警戒ぶりがよく分かる事例と言える。

 北朝鮮も中国もそれぞれ異なる思惑を持ってアメリカの新大統領選出の行方を見守っている。 

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