米トランプ大統領が提唱したG7拡大構想とは?

米トランプ大統領が提唱したG7拡大構想とは?

主要7か国首脳会議を拡大することを提唱したトランプ大統領

米トランプ大統領が提唱したG7拡大構想とは?

 主要7か国首脳会議(G7サミット)拡大構想は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が2020年5月末に表明した考えだ。

 内容としては、現在のG7サミットの加盟国であるフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの枠組みは時代遅れであるとして、新たにロシア、インド、オーストラリア、韓国の4か国をサミットに招待するとした。

 しかし、この考えはG7の国々からの同意を得ていないため、一部の国々からは反対意見が相次いでいる。

 アメリカが議長国として、4か国をサミットにゲストとして招待する権利はあるものの、G7サミットの構成自体を変える権限はないという意見も見られる。

 そもそもG7サミット拡大には、全構成国で一致した同意が必要であり、1か国でも反対を堅持している場合、この構想が実現することはない。

 今年のG7サミットは当初8月末などに開催予定であったが、トランプ大統領は11月の米国大統領選挙の後に先送りする意向を示している。しかし、現在の各国の反応を見ると、次回のG7サミットで4か国が正式に枠組みに組み込まれることはないだろう。

G7拡大構想に対する韓国の反応

 韓国の文在寅大統領は、6月1日にトランプ大統領との電話会談の際にG7サミットへの招待を受諾している。
 
 今回のトランプ大統領からの提案はGDPでは韓国に勝っているブラジルなどを飛び越えての提案であるため、本来であれば喜ぶべき事態だ。しかし、問題は4か国を追加招請の理由にある。どうやら中国問題について議論することを前提とした招待となっていることから韓国ではG7サミットへの参加に否定的な意見も聞こえてくる。

 なぜなら、韓国にとって中国は重要な貿易相手国であり、G7サミットに参加した結果、そうした中国との関係に亀裂が入る可能性があるからだ。韓国の輸出入相手国1位は中国で輸出全体の24.8パーセント、輸入は全体の20.5パーセントを占めている(一般社団法人日本貿易会・2017年)。

 今年は新型コロナウイルスなどの影響により、世界経済が不安定になっており、その上、中国との関係が悪化すれば輸出依存が高い韓国経済に悪影響をおよぼしてしまうことが予想される。

 韓国国内では、こうした懸念からG7への参加について賛否が分かれているのが現状だ。

ドイツ前向き・日本反対。日本は嫉妬と韓国メディア

ドイツ前向き・日本反対。日本は嫉妬と韓国メディア

世界港湾取扱貨物量8位の釜山(国土交通省港湾局・2018年)

ドイツ前向き・日本反対。日本は嫉妬と韓国メディア

 ドイツのハイコー・マース外相は、現在G11やG12などは必要ないと発言するなどG7サミット拡大構想に反対する姿勢を示している一方、韓国のG7参加については、8月10日にベルリンで開催された韓国とドイツの外相戦略対話にてG7サミット参加に前向きな反応を示している。

 そんな中、日本は6月に政府高官がアメリカ政府に対して、韓国の参加に反対する考えを伝えていたことが分かっている。その理由として、韓国政府の南北和解優先や親中国姿勢を問題視している

 韓国政府はG7サミット参加に前向きであるため、韓国メディアなどは「G7で唯一のアジア加盟国として参加しているという外交的優位を守ろうとしている」として、日本政府の対応を批判している。

 こうした日本の対応は、歴史問題などで関係が悪化している日韓関係をさらに悪化させる可能性がある。

 G7サミット拡大構想が現実に行われるのかは分からないものの、現実に実施されれば、各国の関係性に影響を与えるのは必至だ。
 

千歳 悠
4年ほど活動しているフリーライター。金融、IT、国際情勢など日々情報を追いかけている。趣味は読書と動画視聴。

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA