ベトナム最重要連休「テト」

ベトナム最重要連休「テト」

テトとは節の意味で節元旦の略称。テトグッズが並ぶホーチミンの商店

ベトナム最重要連休「テト」

 新型コロナウイルスの影響がまだまだ続いているベトナムは、2021年の旧正月「テト」の元日を2月12日に迎えた。ベトナム政府は昨年中に2021年のテト連休は2月10日から16日と閣議決定しており、この日程で実際に連休に入った。

 テトはベトナム人にとって最も重要な連休だ。そのため、今でも昔のように大都市でも飲食店や商店が軒並み休業するなど、ほとんどのベトナム人がどこかへと一斉に移動する。

 ベトナム労働法においては、テト休暇は5日間だが、今回は一斉帰郷を懸念し、早めに連休を始めることで、交通機関の密を避ける狙いがある。また、連休中に土日が入るため振替で、今年は例年より少し長い7連休となった。

テト直前にホーチミンの空港職員が感染

テト直前にホーチミンの空港職員が感染

従業員に国内感染者が出てしまった、ホーチミンのタンソンニャット国際空港

 2020年のテトはコロナウイルスが深刻なパンデミックを引き起こす前だった。一方、タイの旧正月は4月で、タイ政府は2020年は近代では初めて戦争以外の事由で旧正月を中止とした。それもあり、ベトナム政府の2021年の動向が昨年から注目されていたが、ベトナムは世界的に見ても感染者数の押さえ込みに成功していた方だったこともあり、2021年旧正月も強制的に中止するということはなかった。

 ところが、2020年後半から国内で新規感染がいくつか発生している。さらに、2021年2月7日には、南部の商業都市ホーチミンの玄関でもあるタンソンニャット空港の従業員4人が感染していたことが発覚。今年に入ってから首都ハノイでも市内感染者が散発していたこともあり、2月8日になってベトナム首相府からの通達によって各省市の機関が様々な対策を実施することになった

自主的に旅行などをキャンセルする在住外国人

 フック首相はハノイとホーチミンの機関に対しては、感染リスクの高い地域に対してロックダウンをすることも許可。中部の港湾都市ダナンは、ハノイなどの特定地域から移動してきた人には21日間の隔離措置を実施すると発表しているなど、テトとは言え簡単に国内移動ができるような状況ではなくなった。

 ベトナムは国全体を封鎖していることもあって外国人が簡単に入国できないため、在住外国人は可能な限りベトナム国内に滞在することを強いられている。一方で日本や欧米よりも感染リスクが低いこともあって、「出たくない」という外国人も多い。

 しかし、さすがに家にこもっている日々に嫌気もさし、昨年末のテトの日程発表の翌日から韓国人や日本人を含む在住外国人の中には観光のためにホテルや航空券を押さえる人が増えた。だが不運にもテト直前にこういった事態になり、彼らはキャンセルを余儀なくされている。

 企業などは、特に自主的に外出を控えるように通達。駐在員は韓国人であれ日本人であれ、それに従って国内移動もあきらめたようだ。
 

テト直前のキャンセルで各社対応が分かれる

テト直前のキャンセルで各社対応が分かれる

航空機から見下ろしたホーチミン市

 キャンセルをしなければならない人の多くの悩みは、支払いはどうなるのか、ということだ。それに関しては、宿泊施設や航空会社によって対応は違うかもしれないが、ある在住日本人は、

 「ホテルはノーチャージでキャンセルできた。航空会社はベトナム航空をハノイ―ホーチミンで押さえていたが、キャンセルの場合は3か月後に払い戻しか、元の料金に多少色を付けてくれた金額の1年間有効バウチャーをくれることになった」

 と言う。ベトナムは国内感染は日本ほど広まっていないので、この人物はバウチャーを選んだ。落ち着いたタイミングで素早く使えば1年以内に消化できると、彼は踏んでいる。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)など。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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