北朝鮮が初めて新型コロナ発生を発表

北朝鮮が初めて新型コロナ発生を発表

労働新聞が掲載した5月12日の政治局会議。時計の針は午前3時前を示している(提供 コリアメディア)

 北朝鮮は12日、首都平壌で新型コロナウイルス感染者が確認されたことから、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、全国のすべての市や郡を封鎖するよう指示したと発表した。

 北朝鮮の公式発表でコロナ感染者の発生は今回が初めて。ゼロコロナが破れたことになる。

 北朝鮮では、国際的に感染が拡大し始めた2020年2月上旬に国境封鎖に踏み切り、コロナ対策を最優先事業に掲げてきた。今年1月に中朝陸路貿易を再開させたものの、4月末に再び中断している。

12日深夜に政治局会議が急きょ開催

 労働新聞によると、感染者の発生を受け、12日未明に正恩氏出席の下で、朝鮮労働党の政治局会議が開かれた。

 発表によると、「8日、平壌のある団体の複数の有熱者から採取した検体が、オミクロン株派生型『BA.2』と一致した」とのことである。

 12日付の労働新聞に掲載された会議中の写真では、正恩氏を除いて、党幹部たちは全員マスクを着用している。

 時計の針は3時前を指しており、会議が12日深夜に緊急招集されたようだ。

 また、朝鮮中央テレビでは、正恩氏が会議の前後にマスクを着用している姿を公開した。

 正恩氏がマスクを着用している写真や映像は、これまで1度も公表されることはなかった。それほど、正恩氏が感染者の発生を重く受け止めているということなのだろう。

コロナ発生で防疫部門を非難

 政治局会議では、初の感染者発生について、「2020年2月から2年3か月にわたって、強固に守ってきた非常防疫戦線が破られる国家最重大非常事件が発生した」と認定。

 その上で、世界的な各種の変異株感染者が増える保健状況に敏感に対応しなかったとして、「防疫部門の無警戒と油断、無責任と無能を批判した」とある。

 つまり、防疫部門に感染者発生の責任があると考えているようで、強い言葉で非難している。

 ここで思い出されるのは、昨年6月29日に開催された政治局拡大会議。

 この時も新型コロナ対策のための防疫体制において「重大事件」があったとして、正恩氏が厳しく叱責。防疫体制の責任を問われ、最高指導部である政治局常務委員が解任される事態となった。

 今回も国境沿いでもない首都の平壌で初となる感染者が発生したことについて、担当者の責任が追求されたのかもしれない。

金正恩総書記が全土でロックダウンを指示

 政治局会議は、首都へのコロナ流入を受け、「最大非常防疫体系」に移行することを発表。

 この名称から2020年以降では最大規模となる防疫体制のようだ。

 出席した正恩氏は、「我々にとって悪性ウイルスよりも危険な敵は非科学的な恐怖と信念不足、意志薄弱である」と訴え、「突発的な事態に必ず勝ち、非常防疫事業で勝利する」と強調した。

 さらに、正恩氏は、事実上の都市封鎖(ロックダウン)を指示。

 封鎖は北朝鮮全土にわたり、「全国のすべての市、郡で地域を徹底的に封鎖し、事業単位、生産単位、生活単位別に隔絶した状態で事業と生産活動を手配して、悪性ウイルスの伝播空間を抜かりなく完璧に遮断する」との方針を打ち出した。

 今まで以上に、コロナ対策が最優先となることで、国防発展5か年計画や首都建設5か年計画などに影響が出ると予想される。

 一方、ジョー・バイデン米大統領が今月下旬に訪韓する予定になっていることから、北朝鮮でのコロナ発生を受け、米韓がどのような反応を示すのか注目である。

八島 有佑
@yashiima

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