「中国政府は中国人を海外へ行かせたくない」

「中国政府は中国人を海外へ行かせたくない」

21日から春節の大型連休を迎える中国

 「とても日本へ行ける雰囲気はないですよ。禁止されているとみんな認識しています」と語るのは、留学や就職などで10年ほど日本で生活していた中国人男性の馬さん。

 馬さんは帰国後もWeChat(ウィーチャット・微信)の日本留学経験者のグループで情報交換を続けている。

 「今年の1月8日以降でも日本へ行くのは無理って話題ばかりです。仕事の出張以外だとビザが発給されませんし、グループのメンバーには、コロナ禍でパスポートの有効期限が切れて更新できない人もいます」(同)

 パスポートの新規発給や更新停止は、昨年春以降から続いていて、現時点でも解禁されるという発表はない。

 「中国政府は中国人を海外へ行かせたくないんでしょうね。このままズルズルと規制し続けるだろうと半ば諦めムードです。記録が残るのでチャット上には書きませんが、合法的に脱中するために準備している人も1人2人ではないと思います」(同)

21億人?6.4倍増?数字のマジック

 中国政府は今年の春節(旧正月)連休で21億人が移動すると発表している。

 また、中国のインターネット旅行会社大手トリップドットコム(携程集団)は、海外旅行予約件数が前年の春節と比べ6.4倍増えたと発表している。

 そもそも中国の発表する数字は信用できない。うのみにするのは危険だ。

 しかし、これらのインパクトある数字を強調するように日本でも報じられた影響か、春節連休に大量の中国人が訪日するかのように思わせるニュースも少なくない。

 春節期間中の移動人数は、コロナ禍前の2019年は延べ30億人(2022年1月17日読売新聞)だった。

 海外旅行予約件数も前年比の6.4倍だ。2022年1月は中国入国後に21日間、都市によっては最長28日間など非現実的な強制隔離を実施していたのだ。

 昨年の春節期間に海外旅行した中国人は限りなくゼロに近いと想定すると、増えるのは当然だろう。
 
 昨年の人数を明らかにしていないので、実数はわからず、増えた倍数だけを強調して大きく見せる「数字のマジック」といったところだ。

帰国前の検査で陽性になったらどうなる?

 日本の個人ビザ手配をしている旅行会社担当者は、「今、手配をしている多くのお客さんは会社の経営者とか幹部クラスなのですが、皆さん入国時の検査よりも帰国前48時間のPCR検査を心配しています。万が一、陽性になったらいつ帰国できるかわからず、経営に問題が生じるので怖いと言っています」

 確かに、日本への入国時の検査で陽性になったら施設で7日ほどの待機と発表されているが、帰国前の検査で陽性になった時の待機期間は、旅行会社へも伝えられていないようだ。

 それもそのはず、帰国前48時間のPCR検査は、中国側が入国条件としているものだからだ。

 本来であれば、中国政府が陽性時の待機期間や再検査の流れなどを明確に説明するべきだが、どうやら指針等を示していないようだ。

 結果的に、これも訪日を抑制する要因の1つになっていそうだ。

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