「検出されたのはEOではなく2-クロロエタノール」MFDS

「検出されたのはEOではなく2-クロロエタノール」MFDS

複数の輸入された農心のラーメンが並ぶ棚

 台湾で辛ラーメン(農心)から発がん性物質のエチレンオキシド(エチレンオキサイド・EO)が検出され、それを受けてタイでも輸入済みの3040個が回収され、国民へ食べないように呼びかける事態になっている。

 対象となっている商品は、辛ラーメンブラック豆腐キムチだ。

 この数年、欧州などで基準値超えでリコールとなったのと同様に麺ではなく粉末スープから検出されたと発表されている。

 KWTが28日に伝えた通り、タイでは、エチレンオキシド自体が禁止されているため、基準値が存在していない。今後、検査して、検出されれば、農心のメインブランドである辛ラーメンも検査対象となり、全品リコールへ発展する可能性もある。

 この問題に対して、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は30日、「台湾当局が検出したとするEOは、2-クロロエタノールだ。検出量は微妙であり人体に危険なレベルではない」と発表した。

 以前から韓国が主張する2-クロロエタノールとEOの合計をEOとして表示する欧州連合(EU)基準に問題があると主張したわけだ。

「国内製品は安全なのか?」

 この報道に対して韓国メディアへ書き込まれているコメントを見ると、「米国FDA(食品医薬品局)に検査してもらえば良い」「残留農薬が検出されないように徹底した安全管理を」「今日も食べた…」「国内製品は安全なのか?」「辛ラーメンやめてジンラーメンにする」「私は気にしない」など複数メディアを確認するも農心を応援したり、台湾やタイを批判するコメントは少数派のようだ。

 コメントにあるジンラーメン(オットギ)からも、2021年にフランスでEU基準の56倍の2-クロロエタノールが検出されてリコールされている。

かつてシェア8割から半数へ下落傾向の農心

 韓国金融新聞は30日に、「『難攻不落』辛ラーメン墜落?」という記事を公開している。

 記事では、40年以上韓国でシェア1位だった辛ラーメンが陥落の危機だという。

 農心は、最盛期にはインスタント麺の市場シェア8割近くを占める独占状態だったが、近年は50%を少し超えるくらいのギリギリ半数を保っている状況となっている。

 2017年50.5%、18年51.4%、19年51.7%。2020年は新型コロナウイルスまん延による巣ごもり需要で54.2%まで回復するも、21年は53.4%へ再び下落している。

 最新の2021年のインスタント麺の市場シェアは、農心53.4%、オットギ23.5%、三養食品11%。

全売上の4割を1ブランドが稼ぐ依存状態

 韓国金融新聞は、農心が低迷する要因として辛ラーメン1ブランドへの過度な依存を指摘する。

 農心全体の売上の79%がインスタントラーメンで、辛ラーメンの売上が全体の40%を占める辛ラーメン依存状態にあるという。

 辛ラーメンブラックは、辛ラーメン扱いされているのか記事からは定かではないが、ブラックの麺は辛ラーメンと同じ麺で、粉末スープのみが異なるプレミアム商品に位置づけられている。

 基本的に同じものだ。

 例えるなら、「うまかっちゃん」と「黒豚とんこつ 鹿児島焦がしねぎ風味」の横のラインナップといったところだろうか(ともにハウス食品)。

 現時点では、農心本社、タイを担当するグローバル農心、農心ジャパンからの公式見解は各SNSも含めて確認できない。

 熱烈な辛ラーメンファンは、さぞ不安で麺も喉を通らないのではないだろうか。

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