不思議な連動を見せる中国SNS

不思議な連動を見せる中国SNS

連日パンダの中国返還が話題になっている 出典 上野動物園[公式]ツイッター

 「シャンシャンに会うために日本人が中国を訪れることを歓迎する」と中国外務省の汪文斌副報道局長が、21日の記者会見で発言した。

 中国へ返還された上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダのシャンシャンに関連する話だ。

 中国政府が公式に発言したことで“お墨付きを与えられた”と判断したのか、不思議なことに中国SNSでも連動するように同じような「パンダに会いに四川へ来て」「日本人の訪中を歓迎する」などのコメントが確認できる。

 一方で、「ここ数年、中国を訪れる日本人は減っている…」というコメントも隠れるように書き込まれていた。

 中国は新型コロナウイルスによる入国制限を解除した。これから日本人が中国へ観光目的で訪れるのだろうか。

日本人の海外旅行先は韓国>中国の順に

 事実として、中国を訪れる日本人は減少傾向が続く。

 確認できた2005年からの17年間(2020年以降は事実上0として実質14年間)で確認すると、

・2005年 3,389,976人
・2007年 3,977,479 人

 この年が過去17年間で最多となっている。

・2011年 3,658,169人
・2013年 2,877,533人

 減少幅が大きくなる。

・2015年 2,497,700人
・2019年 2,676,334人

 2007年と2019年を比べると、中国を訪れた日本人は約130万人減少していることがわかる。

 この人数には香港は含まれていない。

 韓国は、2009年に訪韓する日本人が300万人を超え、李明博(イ・ミョンバク)時代後半の反日的な言動、雰囲気で減少するも、文在寅(ムン・ジェイン)時代の2019年に327万1706人となり、2012年以来の300万人を突破した。

 結果、日本人の海外旅行先では、中韓を逆転した状態でコロナ禍を迎えたことになる。

 いずれも出典は日本政府観光局(JNTO)、観光庁作成。

旅行者だけなく在留邦人も10年間で3分の2に

 減っているのは、中国を訪れる旅行者だけではない、長期滞在する在留邦人も減っている。外務省の統計を見ると、在留邦人はこの10年間で約3分の2に減少している。

 遼寧省大連や江蘇省蘇州など都市によっては半減してしまっている。

 中国の在留邦人減少については別の機会で紹介させてもらう予定だ。
 
 「シャンシャンに会いに中国を訪問することを歓迎する」と言われても、中国の状況は大きく変わってしまった。日本人が気軽に旅を楽しむ場所ではなくなったのだ。

 中国を訪れる日本人が減っていくのと反比例するように、訪日中国人が急増し、2019年には約959万人の中国人が日本を訪れている。

 実に日本人の約3.5倍となっており、何ともバランスが悪い感じは否めない。

 2023年は、本格的なコロナ回復元年となりそうだが、訪中する日本人は増えるのだろうか。

 正直、増える要素は見当たらない。

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