弁当箱やゴム靴などの李君の遺品が反共精神を養い北の脅威を伝えてきた

弁当箱やゴム靴などの李君の遺品が反共精神を養い北の脅威を伝えてきた

李承福君像

弁当箱やゴム靴などの李君の遺品が反共精神を養い北の脅威を伝えてきた

 一方、立派な本館展示室では、弁当箱やゴム靴など李君の遺品のほか、大きな油絵で李君を勇敢な英雄として紹介。江陵浸透事件で北朝鮮工作員が残した遺留品なども展示してあり、北の脅威を伝えていた。茅葺きの生家は復元されたもので、家の後ろの日当たりがいい場所に、惨殺された李君を含む家族4人のお墓があるそうだが、時間の関係で訪ねることができなかった。実際の生家は記念館から北に約5キロメートル、桂芳山麓の渓谷にあり、そこにも生家が復元されている。

 敷地の一角には、右手を上げ何かを訴えているような李君の銅像が立ち、その上部には「僕は共産党が嫌い」と、李君の言葉が掲げられている。共産党と接した経験がないはずの李君が、とっさに「共産党が嫌い」と言い放ったのは、当時の教育の一端を表していると言えるのかもしれない。
 

急速に薄れる反共精神。李承福君一家殺害事件の風化に危機感を抱く韓国保守派

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李承福君が生まれ幸せな家族

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 李君一家は、焼畑農業でほそぼそと生計を立てる「火田民」だったが、北朝鮮の武装工作員たちは、そんな貧しい家族の殺害をどのような論理で合理化したのだろうか。

 韓国の保守派は李君が「過去の人」となることに危機感を抱き、追悼式を開くなど活動を続けており、6月には李君の生涯を紹介した児童向け図書『僕は共産党が嫌いだ』(出版社・BLUESTORY)も出版された。だが、脱イデオロギーと南北融和という大きな流れの中で、記憶の風化を食い止めるのは容易ではないようだ。

熱川逸(フリーライター)

  • 復元された「反共の象徴」李承福君の生家

  • 展示されている李承福君の肖像画

  • 李承福君のゴム靴

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