〇〇ペイが多すぎて選択できない

〇〇ペイが多すぎて選択できない

選択肢が多いと逆に人は選べなくなる

〇〇ペイが多すぎて選択できない

 「選択のパラドックス」という言葉を聞いたことあるだろうか。一般的に選択肢が多いことは望ましいことに思えるが、実は、選択できるものが多くなればなるほど人間は選ぶことができず結果、満足度が下がってしまうという現象を指す。別名、「ジャムの法則」とも呼ばれる。現在、日本だと、乱立する〇〇ペイがこれに該当すると指摘される。

 多くの国の人たちの日常生活は、選択の連続で成り立っていると言ってもいい。起床して、朝食にパンを食べるか、コーンフレークにするか、それとも食べないか。これらも選択だ。

 出勤するときにもどの服を選ぶか、女性であれば、どのようなメイクするか、どのバッグで出かけるかど小さなものを含めると私たちの生活は朝から選択の連続である。

 資本主義の国で生まれて育った私たちはそれが当然であり、朝食のチョイスを選択とは認識していない人がほとんどなのではないだろうか。

 それが北朝鮮から脱北して韓国で生活している脱北者たちの話を聞くと、選択肢が多くすぎて混乱しているという人が少なくない。まさに選択のパラドックスに陥っている印象を受ける。

選択できないと不満を感じつつも思考停止なので実は楽

 本来の選択のパラドックスとは、6種類のジャムと、24種類のジャムを販売する店で売上がどう違うかという実験にもとづくもので、6種類に絞って販売した店が24種類並べた店よりも10倍売れたという結果が出ている。

 選択する経験が少ない北朝鮮出身者は、6種類の選択肢でも選ぶことができないのかもしれない。

 人間、選択ができないと少なからず不満を感じるが、反面、考えなくいいので楽な心理状態でもある。北朝鮮は、起床から出発までのいくつかの日常的な選択だけでなく、ほんの一部の人を除けば、進学、就職、結婚、住居にいたるまで決められていることが多く自分で選ぶことができない。

 そんな環境で育ってきた北朝鮮人が選択の連続である韓国で生活すると最初は選択の自由を感じるそうだが、段々と混乱してくるのだという。資本主義の社会では選択=自己責任となる。そのため、失敗して窮地に陥るとセーフティネットのような制度で国家が救済するような仕組みが用意されている国が多いわけだ。

脱北者からユーチューバーや国政へ立候補する人も

脱北者からユーチューバーや国政へ立候補する人も

女性向け衣類問屋店がの密集するソウル・東大門市場

 ある脱北者の20代男性は、韓国での自身をどう思うか質問すると、

 「生まれて初めて自分自身の人生を生きていると感じています」

 と答えた。

 韓国へ脱北した人の中には、家計の選択に失敗し多額の借金を背負ったり、結婚に失敗したり、女性だと整形手術に失敗したり、悪徳業者に騙されたりするケースもあるようだ。もっともこれらの選択ミスは日本でもよくあることだが、脱北者たちは耐性が乏しいため、落ち込み、北朝鮮へ戻りたいと考える人も少なくないという話を聞いた。

 脱北者の中には、実業家、ユーチューバー、作家になったり、国政へ立候補する人も現れている。

 もし、韓国経済が今以上に困窮して社会全体が余裕がなくなってきたら、脱北者たちをフォローアップしたり、セーフティネットで支援することも難しくなるのかもしれない。

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