日本へ行ったことない日本語ガイド

日本へ行ったことない日本語ガイド

国際的なスポーツ大会にはDPR Koreaとして参加する北朝鮮

 「日本で会えるものなら会いたかったですね。日本へぜひ行ってみたいと言っていました」と話すのは、2019年9月の北朝鮮ツアーへ参加した日本人女性だ。

 この時のツアーを担当した朝鮮国際旅行社(KITC)の2人のガイドのうち1人は30代前半の女性だった。大学を卒業後、KITC へ配置(就職を意味する)され、日本語での案内を始めて10年ほどになるという。

 北朝鮮滞在中、自然と話題は2020年7月に開催される予定だった東京オリンピックに。当時は新型コロナウイルス蔓延前だったので、北朝鮮も参加予定だったオリンピックの話題で盛り上がったそうだ。

 「日本語を学び始めてから15年ほど経ちますが、1度日本へ行ってみたいですね」と女性ガイドは話していたという。

 北朝鮮から選手団が派遣されるのであれば、KITCの日本語ガイドも通訳として同行する可能性があったからだ。

2000人の日本人が観覧した2002年アリラン祭

 日本政府は日本の独自制裁として2006年から人的往来の規制処置で「北朝鮮籍者の入国の原則禁止」を実施している

 2006年以降、例外として日本入国が認められたのは、2016年2月の北朝鮮女子サッカーチームなど複数回あるが、派遣する人数が少なければ、日本語通訳の人数も少なくなるはずなので、KITCを管轄する観光総局あたりから通訳が派遣されてKITCの日本語ガイドまで声がかからったのかもしれない。観光総局にはKITCから異動した元日本語ガイドが複数在籍する。

 しかし、過去にはKITCの日本語ガイドが日本へ通訳として派遣されたことがあった。直近では、2002年4月末から6月末にかけて初開催されるアリラン祭のプロモーションで、日本の主要都市を行脚した時に派遣された。

 2002年春は、1回目の小泉訪朝(2002年9月17日)前だったので、北朝鮮を巡る情勢は、現在とはまるで違っていた。日本からのアリラン祭観覧ツアーには、2000人ほどの日本人が参加したとされる。

思わぬ人が通訳として派遣へ期待も

 KITCの現役ベテラン日本語ガイドの中には、2002年のアリラン祭のプロモーション訪日やその前にも芸術団訪日の通訳として同行した人もいるとのことだった。

 日本語ガイド歴10年ちょっとということは、2006年以降にKITCへ配置となり、日本へ行く機会がなかったのは無理からぬことだ。

 もし東京オリンピックへ派遣する北朝鮮選手団が大人数になっていたら、観光総局やKITCからだけでは通訳が足りず、2019年11月末にタイから北朝鮮へ強制送還されたと思われる北朝鮮レストラン「ヘマジ館」のアイドル的な存在だった李同務も通訳として日本へ派遣されて日本で再会できたかも…と追っかけだったチャンラッ李とんむ氏も期待していた。

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