北朝鮮外務省が菅首相の国連演説を非難

北朝鮮外務省が菅首相の国連演説を非難

2020年8月28日、辞任を表明した安倍晋三前首相 出典 首相官邸ホームページ

 北朝鮮外務省は9月25日付の談話で、菅義偉首相の国連演説について、「見込みがない『核・ミサイル・拉致問題』の解決という、荒唐無稽な『看板』を国連の舞台にまで持ち出した」と批判した。談話は外務省傘下である日本研究所の李炳徳(リ・ビョンドク)研究員名義で発表された。

 菅首相は24日のビデオ演説で、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を非難した上で、米朝間で非核化協議が進むことに期待を示すとともに拉致事件解決を訴えていた。

 これに対して、談話は「問題の性格と本質を見誤り、反共和国敵対視政策の本性を改めて明らかにした」と指摘しながら、「一国の首相であるどころか、一般的な政治家としての初歩的な品格と資質にも疑問を投げかけなければならない」と菅首相を直接非難した。

自民党総裁選に言及。安倍路線踏襲を警戒

 同談話は29日に投開票が行われる自民党総裁選にも触れ、「安倍(前首相)や菅(首相)だけでなく、日本の次期首相が誰になっても、前任者らの対朝鮮敵視政策の足跡を踏襲するような政治家とは付き合わない」とけん制した。

 辞任した安倍晋三前首相の名前を挙げていることから、北朝鮮がいかに「安倍路線」を嫌っていたかがよくわかる。

 この談話の2日前(23日)にも、北朝鮮外務省は同じく李炳徳研究員名義で談話を発表。安倍前首相と菅首相に対し、「我々の誠意と努力ですべて解決された拉致問題を復活させ、政治目的に利用してきた」などと非難し、日朝関係を最悪の状態に陥らせた「首謀者」だと糾弾している。

 その上で、談話は自民党総裁選の候補者らが「前任者の敵視政策を踏襲する意思を公然と表明している」と警戒心を示す。もし、次期首相が対北敵視政策という安倍路線を踏襲するならば、日本は「破滅的な敗北」に直面すると警告した。

菅政権誕生時も安倍路線継承を警戒

 実は昨年9月に菅政権が誕生した際にも、北朝鮮外務省は同様のけん制を行っている。この時も李炳徳研究員が談話(2020年9月29日付)を発表し、「(拉致問題は)我々の誠意と努力によりすでに不可逆的に完全無欠に解決された」と述べるとともに、「拉致問題を交渉の入口にしている間は交渉のテーブルにはつかない」と従来からの主張を繰り返した。

 加えて、「歴代政権で最も対朝鮮敵視政策を行なってきた」と退陣したばかりの安倍前首相を糾弾する中で、菅首相が安倍路線を継承しないよう遠回しに釘を刺していた。

 このように北朝鮮は、約8年間続いた安倍政権の対北方針に強い反発を示してきたのである。

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA