2020年の対日論評は過去4年間で最小

2020年の対日論評は過去4年間で最小

菅義偉内閣総理大臣 出典 Scanyaro [Public domain], via Wikimedia Commons

2020年の対日論評は過去4年間で最小

 2018年以降、北朝鮮は対米交渉に力を入れてきたが、日本との対話は後回しとなっている。

 北朝鮮の対日方針を知る手がかりの1つとなるのが、宣伝媒体が伝える対日論評である。

 労働新聞(党機関紙)と民主朝鮮(政府機関紙)、朝鮮中央通信(国営メディア)、わが民族同士(祖国統一委員会ウェブサイト)、北朝鮮外務省ウェブサイトの5媒体における2020年の対日論評は計153件(筆者把握分)であった。前年比52%減であり、過去4年間で最小となった。

 米朝交渉停滞の影響もあり、昨年は国内向けの労働新聞と民主朝鮮では対外関係の論評が全体的に減少したが、その中でも対日論評は激減している。

日本研究所が相次いで対日論評を発表

 2020年の対日論評の特徴は、外務省傘下の日本研究所研究員が相次いで論評を発表したことである。

 日本研究所は、北朝鮮外務省ウェブサイトによると、「日本との歴史的、領土的、その他の未解決の問題に関する調査を行うとともに、日本の研究者やジャーナリストと交流を行う」機関とされている。

 2016年に初めて日本研究所の存在が確認されたものの、論評数はそれほど多くなかった。日本研究所が対日姿勢を示す中心的な役割を担っているとも考えられる。

 一方、外務省の日朝国交正常化担当大使である宋日昊(ソン・イルホ)氏の動静については不明である。現在の冷え込む日朝関係では、対日関係のベテランである宋大使の出る幕ではないのかもしれない。

対日論評のテーマは例年と変化なし

 2020年の対日論評のテーマは、歴史認識問題や過去清算、在日朝鮮人、安全保障政策など多岐にわたった。テーマや主張自体は例年から大きく変化はない。

 たとえば、歴史認識問題では、韓国国内の動向とも関連して慰安婦問題や徴用工問題などに言及。日本の戦争責任を問い、「日本当局は朝鮮人民に働いた反人倫的犯罪行為に対する国家的責任を自覚し、心から謝罪して誠意をもって賠償すべき」などと指摘している(8月15日付・労働新聞)。

 また、戦争責任と関連して、「在日朝鮮人たちは日本の植民地統治の直接的被害者とその子孫。民族教育の保障こそが過去清算に対する正しい姿勢」(12月18日付・日本研究所談話など)と主張している。

 その中で、日本政府が高校無償化や幼保無償化の制度から朝鮮学校を除外していることを「民族教育抹殺策動」と非難し、繰り返し是正を求めてきた。

 その他、安全保障関連では、自衛隊の海外派遣や米軍との共同軍事訓練、先端兵器導入などの動きに合わせて、「侵略戦争の準備」や「軍国主義の復活」などと非難している。

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