日本の規制が緩和されないとタイへの観光客も増えない

日本の規制が緩和されないとタイへの観光客も増えない

免除した隔離処置が再び復活したタイ

日本の規制が緩和されないとタイへの観光客も増えない

 オミクロン株など変異株登場で世界中の国々は、新型コロナウイルス水際対策として入国規制を強化・延長している。

 日本も取材時で外国人の入国がほぼ不可能になっている。

 東南アジアのタイは、すべての入国者・帰国者に適用していた強制隔離を昨年11月から条件付きで免除し、実質的に外国人観光客の受け入れを再開。

 しかし、12月にオミクロン株の国内感染が確認され、現時点で隔離免除措置を停止し、観光客受け入れも止まってしまった。

 いずれにしても、タイの観光客受け入れ措置で浮き彫りになったのは、帰国・出国先の規制も大きく関係するということだ。

 日本人にとってタイは人気渡航先で、規制緩和の最初の週こそ日本人が多かったが、11月全体の入国者数はそれほどでもなかった。

より高収入を求めて語学習得を目指すベトナム人

より高収入を求めて語学習得を目指すベトナム人

ベトナム・ホーチミン市の安宿街は歓楽街で、ベトナムの若者はこういったところで英語などの実践訓練をしている

 こういった規制は、観光やビジネスだけではなく、留学にも大きく影響する。

 より容易な語学留学などは、受け入れ先も閉鎖していることが多い上、日本に戻ってきても待機期間が必要になるなど、時間と費用が余計にかかる。短期留学は、特に両国で必要な待機・隔離期間がより重くのしかかる。

 とはいえ、これはある意味では贅沢(ぜいたく)な悩みである。

 たとえば、東南アジア各国を見ると、ベトナムは外資系企業に勤めると給与が高いため、若者はこぞって言語習得を目指す。

 しかし、若者たちに話を聞くと、海外旅行どころかパスポートを取得したことがある人の方が少ない。

 東南アジア人が、日本で日本語を勉強する場合、それなりに金銭的な余裕がある世帯であったり、相当な借金をしてやってくるケースが決して少なくない。

 逆に言えば、その気さえあれば、言語習得は自宅でもできるということではある。

日本語学習者が多いアジアの国はどこ?

 アジア圏内で人気の言語といえば、日本語、韓国語、中国語。英語も含めこれらは語学教室も多いし、エンタメのソフトも無数にある。

 しかも、オンライン授業なら日本国内外問わずに受講でき、ネット経由で居ながらにして現地人とコンタクトを取ることだって可能だ。

 このように日本以外の場所で日本語を勉強する人は、どれくらいいるか。各国で日本語学習をする人口が、「国際交流基金」による「2018年度日本語教育機関調査」で報告されている。

 調査された142か国中、アジア内の学習者数は下記のようになっている。

1.中国:1,004,625人
2.インドネシア:709,479人
3.韓国:531,511人
5.タイ:184,962人
6.ベトナム:174,521人
7.台湾:170,159人
9.フィリピン:51,530人
10.マレーシア:39,247人
12.ミャンマー:35,600人
15.香港:24,558人
21.シンガポール:12,300人
23.モンゴル:11,755人
27.カンボジア:5,419人
44.ラオス:1,955人
51.マカオ:1,502人
65.東ティモール:651人
107.ブルネイ:171人

総人口、日系企業数、観光客数に比例

総人口、日系企業数、観光客数に比例

東南アジアの空港、観光地は特に日本語話者や少なくとも英語を話せる人は多い

 アジア内では、公立校で日本語授業があるなど、欧米諸国より学習者は多い。

 また、学習者数は、教育機関や教師数の影響も強い一方、3位韓国の方が2位インドネシアより教育機関と教師数ともに多い。

 結局は、元々の人口、日系企業の数、観光客数なども関係するようだ。

 5位のタイくらいまでは、市中を歩いている中で、日本語話者に出会う確率も高く、むしろ、わざわざ現地の言葉を習得しなくても日本語だけで観光できる場所とも言えるかもしれない。

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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