麻薬で死刑になるタイ

麻薬で死刑になるタイ

大麻草。タイは医療大麻が解禁され、自治体や民間による大麻の栽培や研究が進んでいる

 新型コロナウイルス対策で、タイ政府は2020年、2021年と外国人の入国に関して厳しい規制を実施してきた。

 観光収入の多かったタイでは、外国人観光客激減で規模縮小を余儀なくされている業界も少なくない。

 経済活動が低迷しているせいか、日々のニュースの中で、覚せい剤や麻薬に関する事件の報道が多くなっている気がする。

 タイは、麻薬に関連した法令が厳しく、種類によっては死刑もあるほどだ。

 そこで、タイにおける外国人の麻薬犯罪における逮捕者の人数を国籍別に比較してみた。

タイと国境を接する3か国がトップ3

 タイ法務省麻薬取締局が発表している2020年の麻薬事件の逮捕者の統計を参照すると、アジア諸国の逮捕者は、多い順に下記になる。

・ミャンマー:1,955人
・ラオス:229人
・カンボジア:173人
・マレーシア:74人
・中国:14人
・日本:4人
・韓国:2人
・フィリピン:2人
・台湾:2人
・ベトナム:2人
・シンガポール:1人

 この順位のうち、ミャンマー、ラオス、カンボジアは全体の上位3位でもある。

 2020年は全体で2910人が逮捕された。ミャンマーは、このうち68%近くを占めているので、かなり多い。

 また、中国人は14人、日本人は4人が逮捕されているが、欧米も含めるとロシアが16人、それから米国12人、ナイジェリア11人のほかフランスなど日本より多い国がいくつかある。

国籍不明者が10年間で3538人

 さらに、2011年度からの10年間のタイ人以外のアジア人逮捕者を見ると、下記のような人数になっていた。

・ミャンマー:22,480人
・ラオス:8,565人
・カンボジア:2,659人
・マレーシア:1,331人
・中国:125人
・ベトナム:72人
・日本:50人
・シンガポール:44人
・フィリピン:38人
・韓国:25人
・台湾:25人
・インドネシア:20人
・香港:8人
・北朝鮮:1人

 10年間の合計となると、2020年のみの順位とはやや異なる。

 ちなみに、国籍不明の逮捕者も統計に含まれている。2020年は346人で、10年間では3538人にも及ぶ。

 タイは、だいぶ少なくなったが、保護者が出生届を知らずに出さずに無国籍者になっているケースもあるし、飛行機での密入国は困難なので、おそらく近隣諸国からの入国者の可能性も高い。

 また、そもそも偽造パスポートなどで入国し、逮捕後に完全黙秘を貫いていることも考えられる。その場合は、完全に組織犯罪であろう。

ミャンマー人が50%を超える理由

ミャンマー人が50%を超える理由

北部少数民族の村落。車で行けないような山奥で大麻やケシを栽培している村もあり、1つの供給地になっている

 2020年までの10年間の逮捕者数は合計で4万1822人。ミャンマー人だけで50%を超える。

 ミャンマー、カンボジア、ラオス人の逮捕者が多いのは、かつてタイ、ミャンマー、ラオスにまたがる黄金の三角地帯を抱えていたこともあって、現在も密輸ルートがあること。

 また、この3か国は、タイにおいて肉体労働などの重要な労働力であるため、タイ政府は、日本人などと違った規則で出入国や労働許可を与えている。そのため、出入国者数が多いことも理由になるだろう。

麻薬事案で逮捕される韓国人は日本人の半分

 しかし、入国者数の比較で言うと、日韓の逮捕人数は様子が違う。韓国人は2020年、それから10年間合計でも日本人逮捕者の半分しかいない。

 近年は韓国人によるタイ国内での犯罪が目立ってきているが、傷害や詐欺などが多く、日本人の方が、麻薬事案では逮捕者が多い

 新型コロナウイルスによる非常時である現在はともかく、平常時は、日本人よりも韓国人の方が入国者が多い。

 しかし、麻薬事件は、日本人の方が多いとなると、麻薬関係に関しては日本人の方がタイ警察にとっては悪者と言える。

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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