朝鮮問題研究センターが文化講座を開催

朝鮮問題研究センターが文化講座を開催

朝鮮民主主義人民共和国の喜劇-笑いのしくみを探る-

朝鮮問題研究センターが文化講座を開催

 朝鮮大学校朝鮮問題研究センターは、2月19日、朝鮮文化研究室と科研費基盤(B)「文化としての社会主義:東北アジアとDPRK」の共催で、連続講座「朝鮮民主主義人民共和国の大衆文化をひも解く」を開催した。

 4回目となった今回は、「朝鮮民主主義人民共和国の喜劇-笑いのしくみを探る-」と題して、同大学の金正浩教授(文学歴史学部部長)が講演した。

 この連続講座は、朝鮮文化を知ってもらおうと同センターが開催しているもので、今回が最終回となった。

朝鮮喜劇の主な素材は「経済と生活の向上」

 今回、講師を務めた金正浩教授は、1988年に結成された在日朝鮮人劇団「アランサムセ」の主宰を務める。

 劇団では、在日朝鮮人の生活や歴史に関連する問題意識をテーマに活動しているが、過去に、「バスケ選手」(1997年)や「約束」(1989年)といった本国の「朝鮮喜劇」を日本語で上演したことがある。

 金正浩教授は、これらの作品を紹介した上で、朝鮮喜劇の主な素材は、「経済と生活の向上」であると解説。

 工場や建設現場が作品の舞台となることが大半だが、2000年代以降は、学校や科学技術部門が舞台になることも増えているとのことであった。

笑いの普遍性

 参加者からの「朝鮮喜劇で特有の笑い」を尋ねる質問に対して、金正浩教授は、「本国の社会制度から、企業などにおける幹部と部下との関係は、日本社会の上下関係とは少し異なっているが、この関係性を逆手にとって笑いをとるパターンがある」と説明した。

 一方で、朝鮮喜劇であっても、日本や他国での喜劇であっても、笑いには普遍性があると金正浩教授は強調している。

 誤解や錯覚、吉本新喜劇で鉄板となっている繰り返し、批判対象の造形であるキャラクターといった笑いの手法やパターンは、朝鮮喜劇にも同じく存在しており、「時代、国家、民族にかかわらず、人間が笑うことの本質は変わらない」と指摘した。

金正浩教授「朝鮮にも笑いや恋がある」

 冒頭、金正浩教授は、日本の「政治や外交分野の北朝鮮専門家のうちどれだけが、朝鮮の文化にかすったことがあるのか」と述べ、現在の北朝鮮評論の現状に疑問を呈した。

 「北の人間は恋愛しないと思い込んでいる日本の知識人に、朝鮮には笑いも涙も恋も家庭もあるという当たり前のことを教えてやらねばならない」との思いから、劇団で朝鮮喜劇を実演する理由になったと語った。

 現在はコロナ禍で、劇団アランサムセの公演のめどは立っていないが、朝鮮喜劇に触れることができる数少ない場でもあることから、参加者からは、劇団の今後の活動に期待の声が上がった。

八島 有佑
@yashiima

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