韓国で頻発する建設物の崩落事故

韓国で頻発する建設物の崩落事故

建築中のソウルの高層ビル

 2022年1月11日、韓国光州市で建設中だった高層マンションが崩落。23階から38階部分が崩れて6人が行方不明となった。

 韓国では、過去にも建造物の崩落事故が多く発生している。

 有名なのが1995年の三豊百貨店崩落事故。営業中の4階建てデパートが瞬時に崩れて502人が死亡し、世界最多の被害者数を記録した。

 この前年にも漢江に架かる聖水大橋が崩落して、走行中の乗用車やバスが次々と川に転落。32人の死者を出している。

 また、2年前にはソウル市内の超高層複合ビルが激しく振動して消防隊が出動する騒ぎがあった。

 ビルに入っていたダンス教室が原因とされるが…、ダンスの足踏みでビルが揺れるなんて日本では考えられない話である。

 韓国民も自国の建造物を不安視しているようだ。

 たとえば、観光名所になっている地上555メートルの第2ロッテタワーも、数年前に床の亀裂がネットに拡散されてからは「近いうちに崩落する」といううわさが絶えない。

安全マニュアルを無視させる上からの命令

 今回の光州市で起きた高層マンション崩落は、コンクリートの養生が不十分だったことが原因だとされている。

 冬場は2週間の養生が必要とされる。それを6日に短縮して建設が進めたために、十分な強度を確保できなかったという。

 過去の幾多の失敗を糧に安全を最優先したマニュアルが作られる。新たな犠牲者を出さないために、建設工事では、マニュアルを厳守することが求められる。

 しかし、韓国では、それよりも上からの命令が重視される風潮が根強い。元請け会社から命じられた工期は、それがどんなに無茶な要求でも従わねばならない。そのために、マニュアルが無視されることは多々ある。

 生乾きで強度不十分のコンクリートの上に階を重ねれば、崩落の危険があることは承知。それでも上からの命令には逆らえない。

納入された10社中8社のコンクリートが不合格

 また、使用するコンクリートの品質も信頼できない。それが危険をさらに増している。

 1月19日に野党・国民の力議員が国土交通省から入手した資料を公表した。

 それによると、今回の崩落事故を起こした高層マンションにコンクリートを納入した10社のうち8社が、その製品に不合格判定を受けていたという。砂や砂利などの管理が不十分とか、強度を高めるための混和剤が不足するなどで、品質が劣化したものが多く見受けられたとか。

 この数字をそのまま韓国全体の建造物に当てはめるのなら、そこで使用されているコンクリートの80%が不良品ということになりはしないか。

「NO JAPAN運動」でコンクリートの質はさらに劣化!?

 最近では、コンクリートの原材料についても難しい問題が発生している。

 コンクリートは、セメントに砂利や砂などを混ぜて造られる。そのセメントの原料となる石炭灰は、火力発電所で使用された石炭の燃えかすを再利用したものだ。

 韓国は石炭灰の大半を輸入に依存している。

 品質が良く輸送コストも安い日本産の石炭灰が好まれ、2018年は126万8000トンを輸入していた。これは韓国で使用される石炭灰の約40%にもなる。

 しかし、日本が韓国をホワイト国から除外して以来の「NO JAPAN運動」が、石炭灰にも影響を及ぼすようになった。

 韓国政府は2019年になると、福島原発事故の放射能汚染を口実に石炭灰の環境調査強化を発表。これによって日本からの石炭灰輸入量が激減する。

 輸入量の減少を補うため、石炭灰を再利用技術の開発などが進められている。が、不足を解消するめどはまだ立っていないという。

 石炭灰節約のために使用量を少なくしたりすれば、さらに品質の劣化を招くのではないか。

 そうなると、韓国の建造物への信頼性もさらに低下してしまいそうな…。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。 

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