コメント内容が変化

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中国雲南省にあるカトリック教会

 今、中国SNS上で「邪教」の文字が踊っている。

 邪教とは、中国政府が禁止した宗教、いわばカルト集団認定のことだ。

 11日午後1時前、中国メディアが日本やフランスの大手メディアが安倍晋三元首相を殺害した犯人が恨んでいた宗教団体は統一教会だったという記事紹介を微博(ウェイボー)へ投稿している。

 この投稿へのコメントは、「真の英雄」「安倍は死んで当然」「嬉しい」などが確認できる。

 ところが、11日午後2時から世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が記者会見を開き、その後、中国共産党機関紙の環球時報が「韓国統一教会が安倍晋三殺害に関係していたことを認める」という午後8時半の投稿には、邪教の文字が9割以上を占めるようになる。

 ちなみに、環球時報の投稿自体には邪教という文字はない。簡単に意訳すると、

 韓国統一教会日本支部の田中富広会長は、北京時間午後1時に開催された記者会見で、安倍晋三元総理暗殺事件の殺害犯が恨んでいたと口にしている宗教団体が統一教会であることを認めた。

 安倍晋三氏を殺害した山上徹也容疑者は、安倍氏を暗殺したのは、母親が統一教会に破産させられたからだ。容疑者は、安倍氏がその宗教団体とつながっていると疑ったので暗殺したと供述している。統一教会がこの件での関連を正式に認めたのだ。

突然登場する邪教の文字

 原文では、安倍晋三氏暗殺に統一教会が関与したことを認めたとなっている。

 これだとまるで、旧統一教会が、安倍氏殺害に直接関与したかのようにも読み取れ、意図的にか不明だが、ミスリードさせるものなっているのでこの箇所は改めた。また、韓国を強調しているようにも感じさせる文面となっている。

 この環球時報の投稿へ現時点で8235コメント、4574シェア、31万2000いいねが付いてる。

 原文は意外に思えるほど事実を淡々と伝えている。しかも本文に邪教の文字は1か所も確認できない。

 しかし、なぜかコメントには、本文には存在しない邪教の文字が並ぶ。官製メディアである環球時報がこの投稿をした意味を察知し、忖度したのだろうか。

 安倍氏の死を喜んだり、犯人を称賛するようなコメントは極端なくらい影を潜め、「韓国はなぜこんなに邪教が多いのか?」「中国社会へ悪影響を与える邪教はいつも韓国から入ってくる」「安倍晋三は韓国が暗殺したことになるのでは?」「日本政府は韓国邪教に乗っ取られているのか」「宗教は毒」などの激しい言葉が確認できる。

中国で邪教認定されている統一教会

 旧統一教会は、2014年に中国で邪教認定されている。つまり、正式に中国政府から社会の秩序を乱すカルト集団として禁教となっているのだ。

 一般的に中国で邪教と言えば、法輪功(正しくは法輪大法)を指すが、集団としての法輪功も同じく邪教認定されているので同じ扱いとなる。

 余談だが、中国語では、統一教会を統一教と表記し呼ぶ。これはキリスト教とは別の宗教だという意味で使い分けているとされる。
 
 今回の環球時報の投稿本文とコメント内容の乖離は、中国政府が世論を誘導させるために官製インフルエンサーを使って書き込ませていることで起こっているとみられる。

 SNSを使い統一教会=危険な邪教を繰り返し刷り込むことで、世界的には、世界1の宗教弾圧国と認識される中国政府の宗教政策は、国家や国民の安全を守るために正しいと肯定化する狙いもありそうだ。

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