米ロス売春逮捕者の9割が韓国人

米ロス売春逮捕者の9割が韓国人

妓生の女性たち(1904年撮影) 出典 Cornell University Library [Public domain], via Wikimedia Commons

 「我が国は、売春婦の輸出も世界1」

 韓国のSNSを見ていると、このような自嘲気味のコメントをよく目にする。実際、海外に出稼ぎして摘発される韓国人女性は多いようだ。

 2010年代にロサンゼルスで、違法売春に関わった逮捕者の9割が韓国人だったと報道されたことがある。

 また、ワーキングホリデーのビザで入国した韓国人女性の多くが、風俗産業で働いていたことをオーストラリア政府が問題視し、韓国に抗議したこともある。

 韓国では2004年に性売買特別法が制定され規制が強化された。

 「性売買集局地」として国内に35か所あった売春合法エリアは、2021年現在は14か所に減少している。

 規制強化で職を失った女性たちが、国外に仕事を求めて流出したことが一因のようだ。それが世界中で問題視されるほどに大量の数になるのだから、韓国の風俗産業がいかに繁栄したのかがわかる。

 この巨大産業の発展には日本も大きく関わっていた。

朝鮮王朝には2、3万人の性奴隷がいた

 80年代頃までの韓国には、日本から買春ツアーの団体が大挙して押し寄せていた。古い世代は「キーセン」という言葉を聞いたことあるはず。

 キーセンは「妓生」と書く。元々は朝鮮の宮廷で、高官たちや宗主国・中国の使者をもてなす宴会で芸を披露し、性接待にも従事した女性たちの職名だった。

 戦後の日本人旅行者をお得意様とした「キーセンツアー」は、この伝統的な宮中の接待スタイルを模したものだ。

 妓生は官婢、つまり、国家が所有する奴隷である。身分としては最下層の賎民。だが、没落した貴族階級の娘が、生活のために妓生になる例も多かったという。

 高級官僚をもてなすために、妓生たちは歌舞音曲や詩歌を理解し、鍼灸など医学の知識も身につけていた。

 江戸時代の吉原の太夫、銀座の高級クラブで働くホステスと同じで、貴人や高級官僚相手を接待する女性には高い素養が求められる。

 李氏朝鮮時代には、各地方に一定数の妓生を雇用し、その数を合計すると2、3万人にもなったという。李氏朝鮮政府には、彼女らを管理する妓生庁なる官庁もあった。

 しかし、1894年の申午革命後は妓生の制度が廃止され、多くの妓生が失業。一部には富裕層に囲われて妾となる女性もいたが、多くは民家などを借りて性接待の仕事を続ける。

 公にはできない秘密クラブのようなものだけに、ここでも客は高級官僚や一部の富裕層に限られていた。庶民には縁遠い存在である。

かつて売春は死刑にもなる重罪

 何事にもやる気のない李氏朝鮮だが、女性の貞操を守ることには熱心だった。

 儒教の影響から女性の貞操にこだわり、性風俗の乱れには神経質。風紀の取締りは厳しかった。事が発覚すれば重罪を課される。

 風俗店の営業など認められるはずもなかった。

 大都市でも歓楽街を見かけることはなく、近世になって朝鮮半島に移住した日本人男性は、遊び場がなくて苦労した。

 当時の日本人移住者は圧倒的に男が多く、需要は見込める。そこに目をつけた貧困層の女性たちが、釜山やソウルなどの日本人居留区に流入して体を売るようになるが、朝鮮の役人がこれを一斉検挙して、残忍な公開処刑で見せしめにするような蛮行をやらかしている。

 支配層は、宮中で大量の妓生を抱えて酒池肉林を楽しみながら、庶民にはそれを許さない。何ともわかりやすいダブルスタンダードではあるのだが。

風俗産業から歓楽街が形成

 しかし、朝鮮半島で日本の力が強くなるにしたがって、日本人居留地では、なし崩しに遊郭が続々と開業するようになった。

 やがて日本統治の時代になると、朝鮮半島にも日本と同じ公娼制度が導入される。

 売春は許認可により合法化。娼婦は職業として認められて、一応は法律で保護されるようにもなる。

 この頃から風俗産業への朝鮮人業者の参入が増えて、多くの朝鮮人女性が雇用されるようになった。都市には歓楽街も形成される。

 発展を遂げた朝鮮半島の風俗産業からは、戦時下で多くの慰安婦の供給元に。

 また、戦後は駐留米軍の兵士を相手に貴重な外貨を稼ぎながら風俗産業は発展を続ける。

 朝鮮戦争後に国土が復興すると、ソウルや釜山はもちろん、地方都市にも歓楽街が形成されていった。

 韓国における風俗産業がここまで発展したのは、統治者の日本が性風俗に寛容だったことが1つの要因であることは間違いない。

 もしも、それがなかったら、「2000年代からの風俗嬢の大量輸出は避けられたか?」 そこのところは、わからないのだけど。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社)、近著『明治維新の収支決算報告』(彩図社、2022年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。

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