北朝鮮レストランのメッカ中国には最盛期100店ほど存在するも2018年始めに大量閉店

北朝鮮レストランのメッカ中国には最盛期100店ほど存在するも2018年始めに大量閉店

丹東の北レスステージショー。右側のチマチョゴリの女性スタッフは常に客へ目を光らせる

 数年前まで北朝鮮マニアや海外在住者くらいにしか認知されていなかった「北朝鮮レストラン」(以下、北レス)。研究者の間では、古くは「朝鮮食堂」などとも呼ばれていた。

 日本で北レスが認知度を上げたのは、2016年4月の中国浙江省寧波の「柳京レストラン」からの男女13人の集団脱走事件や2017年2月の金正男氏殺害事件などであろうか。今回は北レスとはどんな場所なのかを改めて考えてみたい。

 北レスのメッカは北朝鮮が国境を接する中国だ。最盛期には中国に100店ほどあったとされ、中国以外の国では約30店ほどの合計130店ほどの北レスが世界に存在していた。

 そのメッカ中国は、2018年1月9日に北朝鮮のジョイントベンチャー(合弁)企業廃止の国連制裁決議に従い半数以上が閉店し、現在は30、40店ほどに激減したとみられる。

 しかし、先日お伝えした通り中国で大量閉店したはずの北レスは早くも復活の気配を見せつつあるようだ。

 中国で制裁履行のデッドラインを迎えた以降もあまり影響なく営業を続けているのが中国と同じく北朝鮮と国境を接するロシア、携帯事業など通信分野でのビジネス関係が深いタイなどが挙げられる。ロシアもタイも国連制裁を履行する義務があるはずだが逃げ道があるのかすり抜けている。

 他のアセアン地域ではベトナムやマレーシア、インドネシアなどは閉店する北レスが相次いでいる。中国以外の北レスについては別途お伝えする予定。

北レスの目的とは何だったのか?売春宿などのゴシップな噂も飛び交う

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地域によって北朝鮮国旗を出す店出さない店が存在した

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 そもそも北レスは何の目的で存在していたか。建前上は、北朝鮮の食文化や芸能音楽を広く伝えるための場所であるが、確実に言えることは外貨獲得の重要な手段だったということだ。

 中国の北レスは8割ほどが中朝合弁で運営されていたと言われ、他にも中国朝鮮族の経営、中国人経営、中には在日朝鮮・韓国人の経営なども存在している。

 北朝鮮は資本主義国ではないので、北レスは実質的に国営企業となるが、細かく見ていくと、北朝鮮大使館が運営に関与していたり、日本的な呼び方で表現すると貿易省傘下の船舶会社や労働省傘下のホテルグループが運営していたりとなっていた。他国では、その国や都市の大使館や領事館が関与していたとされる。

 この北レスについて、ゴシップ系のメディアでは、働く女性スタッフが全員スパイだとか、売春婦で売春宿になっていたなど盛んに書き立てPV数稼ぎや売上アップ目的のメディアも存在するが、現実的には誰も裏が取れないので幽霊が出る出ないと同じような言ったもん勝ちの言いたい放題状態で、真実はベールに包まれたままだ。

謎多き北レスが韓国人向けDMへ広告を出して集客に力を入れた時期も

 メッカ中国の北レスは長年に渡り独特で閉鎖的な空気で存在していたが、一時的に開放的になった時期がある。中国で発行されている韓国人向けの韓国語のフリーペーパー(DM)にスタッフの集合写真入りで北レスが広告を出したりして売り込みを図った時期があったのだ(2012年から15年ごろ)。

 中国在住者が保存してあった北レス広告を提供してもらったのでご披露したい。貴重な画像だと思われる。

 

 いずれも2015年掲載の広告となる。北京と上海に集中しているのは在留韓国人が多かったことと、合弁企業のパートナーである中国側のビジネス意欲が強く反映したと考えられる。

 店舗数では同等規模あった丹東や瀋陽では確認できるDM広告がなかった。また、最盛期3店の北レスがあった大連も旗艦店の平壌館のみ広告が確認できた。

 著作権は各DM媒体だが、念のためクレジットを入れさせてもらっている。悪しからず。

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