中国では味わえない尻ポケライフ

中国では味わえない尻ポケライフ

管理された場所への官製ツアーが主流のため外国人が窃盗被害にあうことはまずない平壌

 毎月のように出張で訪日する中国の朝鮮族でシステム開発会社を経営する薛明元さん(延吉出身)は、日本へ来ると必ずやることがある。それは日本専用で使うルイ・ヴィトンの長財布を尻のポケット(尻ポケ)へ入れることだ。

 何のことだと思うかもしれないが、日本では特に男性が尻ポケに財布を入れて歩いている光景は珍しくない。街中で観察すると10人中4、5人は尻ポケに財布を入れているのではないだろうか。デニムパンツのような硬いズボンをはいて過ごす休日などなら尻ポケ率は7割くらいになるかもしれない。

 「中国ではお尻のポケットにお財布を入れることはまずありません。泥棒に盗んでくださいと宣言しているようなものです。私も中国では、お財布は、ハンドバックのような小型のバッグを財布代わりにしています。もっとも微信マネーや銀聯カード(デビット方式の支払いカード)で支払うので現金は少ししか持ち歩いていませんが」(薛さん)※微信=WeChat

ボディバッグは前に掛けるのが世界の常識

 日本でも流行っているボディバッグ、ウェストポーチを上半身へたすき掛けのようにして持ち歩くバッグのことだが、日本では一般的にバッグ部分は後ろに向け、前はベルトを持ってくる人が多い。しかし、中国だと逆にバッグ部分は体の前へ掛けるのが普通だ。同じく窃盗のリスクが高いからだ。

 しかも、これは中国に限らず、タイやベトナム、フィリピンなども極端な話、日本以外はどこでも中国と同じようにボディバッグは前に掛け、尻ポケに財布は入れないが「常識」とされている。

 中国などではズボンの前ポケットにスマートフォンを入れている人はいるが、それでもいつの間にか盗まれることが日常茶飯事なので常に用心している。

 だから尻ポケへ財布を入れて外を歩けることは中国人には非日常的な体験談なんだと前出の薛さんは話す。そのため来日の度に日本専用の長財布を尻ポケに入れて「尻ポケライフ」を満喫しているのだという。

北朝鮮も管理された観光地は尻ポケが満喫できるものの…

 日本に住んでいると尻ポケが使えることがすごいなんて思う人はいないだろう。ましてや尻ポケが使えることに感動を覚える外国人がいることも知らないだろう。日本の治安のよさを示すものの1つと言える。

 さて、北朝鮮の尻ポケはっと考えると、外国人が見ることができる範囲の首都平壌や地方都市の観光地などは管理されているので窃盗被害にあうことはまずないので尻ポケライフを堪能できる。しかし、外国人が行けないような地方や路地裏では尻ポケライフを満喫することは難しそうだ。

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

    コメント・感想

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA