1年前は「米朝開戦のXデーはいつ?」であふれていた

1年前は「米朝開戦のXデーはいつ?」であふれていた

丹東駅の巨大さがよく分かる下から丹東駅、鴨緑江、北朝鮮・新義州

 「丹東へ日本の地方自治体関係者の視察が増えいています」と話すのは、丹東の旅行会社の担当者だ。

 2018年3月末の金正恩党委員長が初外遊先として中国を訪れ習近平主席との首脳会談を皮切りに昨年までが嘘のように活発な外交を重ねて南北会談、米朝会談が実現。今から1年前の日本の報道番組では、「米朝開戦のXデーはいつか?」などで、軍事関係のジャーナリストや北朝鮮情勢の専門家らが連日もっともらしいことを並べてXデーを予言していたが、あれは何だったのだろうかというくらい朝鮮半島情勢は一変した。日本の安全保障上の観点から見ると好転したと言っていいだろう。

日本で唯一の姉妹都市提携だった境港と元山

 そんな好転状況もを受けて、中朝国境の丹東を視察する地方自治体関係者が春以降増えているというのだ。

 「大きな自治体ではないですが、山陰地方や北陸、新潟の自治体関係者が丹東へ視察に来ています。視察先としては、北朝鮮が望める鴨緑江近くや北朝鮮レストラン、北朝鮮雑貨が売られているような土産物店、海産物店、新区の免税店、あと、実現はしていないのですが、北朝鮮の貿易会社を訪問したいという要望も出ています」(丹東の旅行会社担当者)

 いずれも日本海側の地方自治体のようだ。2006年、日本政府が北朝鮮の核実験後に実施している独自制裁を受けて、日本で唯一姉妹都市提携していた鳥取県境港市は、姉妹都市提携を解除。そのため現在、北朝鮮と姉妹提携を結ぶ都市はない。境港市は北朝鮮東部の元山市と1992年から姉妹都市を結んでいた。

中国拘束リスク低下も丹東視察増加の要因


REAL CHINA! 东北 Dandong City! Sinuiju, North Korea, Hushan Great Wall, Yalu River Broken Bridge!!!

 姉妹都市提携はしていないが、現役の県知事として訪朝したことがある新潟県だ。新潟は、貨客船「万景峰号」が定期運行されていたなど古くから北朝鮮との交流があったことで知られる。
 
 北朝鮮情勢の好転と各国による対北朝鮮制裁緩和となれば、日本の対北制裁も緩和となり北朝鮮との交易再開となる日も遠くないと見越しての視察だと思われる。果たしてその通りになるのであろうか。

 また、丹東だけではなく、同じ遼寧省の大連、瀋陽、吉林省の延吉などへの日本からの視察も増加傾向にあるという。

 この理由は、北朝鮮情勢の好転だけではなく、2015年以降、日本人がスパイ容疑で拘束される事例が相次ぎ、『日本経済新聞』によるとスパイ容疑も含めた半年以上、長期拘束されている日本人は100人近くもいるが、今年に入りスパイ容疑など日本人拘束者の増加に歯止めがかかり、多少中国での拘束リスクが低下したと判断していることも影響していると見られる。

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA