北朝鮮からの報復ビラは未確認

北朝鮮からの報復ビラは未確認

再訪朝前に講演する藤本健二氏

 6月に激化した南北ビラ戦争。正確には韓国が一方的に風船で飛ばしているものだ。北朝鮮が韓国への報復として用意したと報じられた1200万枚ものビラは飛ばされた事実は確認されていない。

 なぜ風任せの風船なのか。これがドローンなど他の確実性が高くなりそうな手段でビラ配布を行うと物理的な攻撃行為とみなされる恐れがあるからだ。

 南北ビラ戦争については各メディアでは報じられたが、ビラの具体的な内容を伝えている日本のメディアは少ない。

最高指導者を殺害する過去にないビラ内容

 今回、韓国から飛ばされたビラの中には、これまでにないようなものが含まれていた。それは、北朝鮮では絶対禁忌である最高指導者への直接攻撃や出生秘密などプライベートな部分を暴露するものだ。

 中でも北朝鮮研究者を驚かせたのは、金正恩委員長を後ろから銃殺しているイラストのビラがあったことだ。過去にも金正日総書記や金正日委員長をパロディー化して批判するものは確認されているが、直接殺害するようなものは見られなかった。

 さらには、昨年の春先に拘束と報じられ夏前に誤報であったことが確認された料理人の藤本健二氏が金正恩委員長の実父であるというビラも飛ばされていた。
 
 ビラ画像を見ると藤本健二氏の韓国語版の著書と一緒に藤本氏と金正恩氏が親子であることなどが書かれている。

 さすがにこれはトンデモ論すぎるのか日本のフェイクメディアでも取り上げていないようだ。

 藤本氏の現在は、訪朝者がおらず、昨年まで平壌の状況を発信していた各国の在留外交官の撤収も進んでいることことから報じられていない。

北朝鮮国内だけでなく海外でも相互監視される朝鮮人

 春から秋にかけては、季節性の風の影響で韓国から風船を飛ばしても北朝鮮側へ飛ぶことは少なく日本海へ飛んでいくことが多い。それでも、多少の北朝鮮人がこのビラを手にしたと推定される。

 1960年代以降、北朝鮮で教育を受けた北朝鮮人は、敬愛する指導者同志…の教育が刷り込まれている。加えて、北朝鮮人同士で相互監視する人民班や批判集会である生活総和があるので、最高尊厳(金日成主席・金正日総書記・金正恩委員長)は命にかえても守らないといけない。こんなビラを見たら周りの目もあるので激しく怒り狂う必要があるだろう。指導者批判には我が事のように猛反発しないといけない。

 北朝鮮以外の国に滞在していても、現地の大使館や領事館などを通じて北朝鮮国内と同じような相互監視下に置かれているため同じである。海外滞在者も生活総和が実施されることで統制を維持している。

(続く)


서울불바다-후지모도겐지

 少し長い動画だが、20分30秒から問題の藤本健二氏と金正恩氏が親子だと主張するビラ画像が登場する。

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