国際機関の共同発表で明らかに

国際機関の共同発表で明らかに

農村の畑道を歩く北朝鮮人

 世界では人口爆発、異常気象による不作、地球温暖化、経済後退といった様々な要因により、近年「食糧危機」に陥る国が増加している。お察しの通り、北朝鮮もそれらの国の1つだ。日本に住んでいる人は想像できないだろうが、今も北朝鮮の多くの家庭は米とキムチで過ごしている。

 「国連食糧農業機関(FAO)」と「WFP国連世界食糧計画(国連WFP)」が2018年に実施した調査では、北朝鮮の農業生産が過去最大に落ち込み、1000万人以上が食糧不足に陥っていることが判明している。また、FAO、WFP、「国際農業開発基金(IFAD)」、「国際連合児童基金(UNICEF)」、「世界保健機関(WHO)」の国際機関が共同発表した報告書では、2016年から2019年には1220万人が持続的に栄養不足に陥っていることが明らかに。これらの報告書を見る限り北朝鮮の食糧危機問題は非常に深刻だ。

 そもそも、なぜ北朝鮮がそのような状況に陥っているのか。今回は「北朝鮮の食糧危機問題」について掘り下げてみたい。

北朝鮮が食糧危機に陥っている根本的な理由

 まず最初に注目したいのが、国連WFP食料安全保障分析上級アドバイザーで現地調査の共同リーダーである二コラ・ビドー氏のコメントだ。

 「多くの家庭が1年の大半を米とキムチで過ごしており、タンパク質が不足している」。加えて、「多くの地域がすでに極度に脆弱な状態にある上、最小限にまで削減されている食料配給がさらに減れば深刻な食料危機に陥る恐れがある」とニコラ氏は続けている。

 2018年に調査したFAOと国連WFPが調査した報告書では2018年から2019年の農作物の収穫量は490万トンとされている。悪天候、燃料や肥料、スペアパーツなどの農業資材の供給が悪影響をおよぼしたという。特に問題なのが冬の雨量が少なかったという点だろう。この影響により、積雪量が減少した。作物が氷点下の気温にさらされ、生産量が約20パーセントも削減している。

食糧危機を乗り越えるために北朝鮮は何をすべきか?

食糧危機を乗り越えるために北朝鮮は何をすべきか?

仄暗い平壌

食糧危機を乗り越えるために北朝鮮は何をすべきか?

 それでは、具体的に農林生産を強化するためにはどうすべきか。国連WFPが具体的に推奨している方法が、肥料や農薬、送水ポンプ、温室設備、野菜の種子の輸入や、収穫後の損失を減らすための穀物乾燥機や脱穀機、貯蔵施設の整備などを強化するということ。また、今後は農林業やアグロエコロジー、耕畜連携などの天候不順に強い農業の実践や持続的な稲の強化が必要になるだろう。

 もし飢餓が発生すれば、もっとも深刻な影響を受けるのは小さな子どもたちだ。北朝鮮に限らず、弱い立場の人々は食料を手にするために苦難を強いられている。

 またさらに今年は、新型コロナウイルスの影響により、新たな形態の食料危機が深まる可能性も見過ごすことはできない。先進国に生まれた私たちが今、考えるべきことは何かを考えてみてはどうだろうか。

井上 一希
フリー編集者。マガジンハウス「anan」、宝島社「sweet」、読売新聞ライフスタイルページの編集担当。好きな食べ物は「冷麺」。

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