北朝鮮側の国境監視小屋が増えた

北朝鮮側の国境監視小屋が増えた

中央の観光客向けの施設を挟むように建つ監視小屋(北朝鮮・新義州)

 中朝国境の丹東は10月25日の朝鮮戦争中国参戦70周年へ向けて盛り上がっている。中国は北朝鮮と抗米連帯を深めて反米ムードを高めたいところだが、北朝鮮の反応は今ひとつで、中国の独り相撲状態が続いている。

 そればかりか、9月以降は、北朝鮮側の警備が強化されて、鴨緑江を遊覧する人気の観光フェリーも北朝鮮側へ接近しないようにと当局から指示が出ているようだ。

 「(北)朝鮮側は監視小屋の数が明らかに増えています。観光客が多い断橋付近には以前から監視小屋がありましたが、今まであまり監視小屋がなかったような上流や下流にも監視小屋が建てられています。兵士1人がやっと入れるような粗末な建物で朝鮮兵士が中国側をじっと見つめています」(丹東の旅行会社担当者)

2億ドルハッキングで激怒(?)の中国が国境警備を強化するはず

 9月上旬、『産経新聞』の報道では、北朝鮮人のハッカーが中国の金融機関をハッキングして2億ドル(約211億ドル)を盗み出したことが明らかになり中国政府が激怒。9月末までにすべての犯人の引き渡しを北朝鮮へ要求し、応じなければ国境封鎖を継続すると報じていた。

 その後の続報はないが、上記記事が事実なら中国側が警備を強化していることになりそうだ。しかし、9月も10月に入ってからも現実の中朝国境は逆のように思える。

 つまり、中国は国境封鎖を緩和させて交易や出張者の往来を再開させたいと水面下で打診をしているようだが、北朝鮮はかたくなに拒否して応じないばかりか、国境警備を過去にないくらいの水準へ強化している様子が見て取れる。

 仮に北朝鮮が容疑者たちの引き渡しに対し中国に反発しての“逆ギレ”的に警備強化をしたとしても、どうにも腑に落ちない。報じられた記事が事実なら、中国が中途半端に手を緩ためたりすることは考えづらいからだ。

北朝鮮側を撮影しないように船内アナウンス流れる

 前出の丹東の旅行会社担当者によると、2018年春に禁止されたモーターボート観光が今年の夏前から密かに一部で復活していたが、それも再び禁止されたそうだ。ボートで北朝鮮側へ近づいて警備兵から威嚇される事例が多く発生しており、「観光客の安全のため」と中国国家旅遊局(観光庁に相当)が中止の理由を通知してきた。

 丹東市が運営する公営観光フェリーでも鴨緑江の中央付近まで進んだら中央あたりを上流や下流へ移動する。北朝鮮側へカメラを向けたり撮影しないようにとの船内アナウンスも流されているとのこと。

 北朝鮮側が国境警備を過去最高レベルまで強化していることを多くの丹東関係者は新型コロナ対策だと認識しているようだ。しかし、現状を見聞きしていると新型コロナ対策だけではないような気がする。


丹东河口坐船看朝鲜,这里还有一座大桥,对面的女子兵营清晰可见

 2020年9月14日公開となっているが、撮影日不明の遊覧船動画。河口断橋がある河口村からの上流への遊覧船が撮影されている。

 現在、この動画が映る川沿いにも数十メートルごとに監視小屋が建てられている。

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