食糧援助なければ8~10月厳しい

食糧援助なければ8~10月厳しい

田植え作業を伝える5月22日付の労働新聞(提供 コリアメディア)

 国際連合食糧農業機関(FAO)は、最新報告書の中で北朝鮮の今年秋までの食糧生産量が推計556万1000トン、直近平均561万2000トンを下回ると報告している。北朝鮮が計画する20万5000トンの食糧輸入分を加えても85万8000トンの食糧が不足すると予想している。

 食糧生産料の内訳は、水稲が211万3000トン、トウモロコシ221万4000トン、ジャガイモ・サツマイモ37万7000トンなどとなる。水稲は精米することで生産量が減少するため、それを加味すると北朝鮮で最終的に生産される食糧生産量は488万9000トン程度とみられる。

 FAOは、「予想される不足分を食糧援助によって解消されなければ北朝鮮の一般家庭において8月から10月にかけて厳しい時期を経験する可能性がある」と警告する。加えて、「北朝鮮は昨年の水稲の収穫時期に大雨や台風に見舞われ収穫量減少につながっており、平安南道、咸鏡道など北朝鮮全体の6割を担う穀倉地帯で水稲の収穫量が2019年比25~45%減少した」と指摘している。

調味料の暴騰続く

 FAOが報告した推計値は、昨年12月に韓国・農村復興庁が発表した2020年推定食糧生産量440万トンよりは増えている(この数字は最終食糧生産量とみられる)。しかし、北朝鮮が全国民へ食糧が十分に行き渡る穀物生産量は550万トンから600万トンとされるので、FAOの報告通り100トンほど足りていないとみられる。

 北朝鮮は、新型コロナウイルス感染対策で国境を封鎖し中国との貿易を制限した影響で、輸入に頼っていた砂糖や酢、醤油、塩などの調味料が極度に不足し、国内価格が暴騰した。中朝貿易関係者によると、現在も高止まり状態が続いているようで、3月以降、徐々に再開されている中朝貿易では、これらの生活物資が優先的に輸出されているようだ。

肥料不足で肥泥棒が相次ぐ

 さらに食糧関連で深刻だったのが肥料不足で、例年だと5月中旬には本格的に始まる「田植え戦闘」が今年は遅れたようだ。中朝貿易再開が遅れ、肥料輸入も遅れたことが要因だろうと北朝鮮農業に詳しい専門家は指摘する。

 北朝鮮では、慢性的な肥料不足が農業生産向上への足かせになっており、昨年、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の重体説が飛び交う中、20日ぶりの動静報道で注目された順川リン酸肥料工場の稼働状況も気になるところだ。

 重要な肥料が中国から入ってこないことで、肥料不足がさらに悪化し、北朝鮮国内では“肥泥棒”が相次いでいるため、肥溜めを夜通し警備する姿が確認されているという。

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