19年8月から訪朝者は米ESTA適応除外に

19年8月から訪朝者は米ESTA適応除外に

アメリカ人は2017年9月1日以降の訪朝が禁止されている

 いまだにインターネットを中心に目にする北朝鮮旅行についてのデマとして、「北朝鮮へ渡航したらアメリカへ行けない」がある。

 結論から書くとフェイク情報で、まったく問題なく行ける。ただし、昨年8月からは、2011年3月1日以降に北朝鮮訪問歴があるとESTA(ビザ免除プログラム)適応外となるオペレーションが実施されたため、訪朝後、渡米するときにはESTAではなく、適切なビザを取得しなければならなくなった。しかし、これは入国禁止を意味するものではない。

 KWTでは以前にもお伝えしたが、北朝鮮はソ連式と呼ばれるパスポートに入出国スタンプを残さない方法を採用している。北朝鮮が発行する顔写真や氏名、生年月日が記載されたB7パスポートサイズの査証紙に入出国スタンプを押し、北朝鮮に滞在しているときにはパスポートへ挟んでおき出国時に出国スタンプを押して用紙ごと回収している。

オットー・ワームビア氏死亡で米人訪朝全禁

 パスポート上には北朝鮮の入出国印は残っていないので出発国の出入国期間の空白をまじまじと検証しない限りはパスポート上からは北朝鮮への渡航は分からない。

 昨年8月からのアメリカの新オペレーション実施後も知らずにそのままESTAでアメリカへ入国した日本人も少なくない。だが、アメリカは万が一、北朝鮮入国歴を隠してESTAで入国しようとしたことが確認されてしまうと、一生涯アメリカ入国が禁止されるなど厳しい対応を受けると言われているため、北朝鮮旅行を手配する各代理店は、訪朝後の渡米には適切なビザを取得するように注意を呼びかけている。

 訪朝後はアメリカ入国禁止というデマの背景にはイスラエルの入出国スタンプがあると一部の敵対する国々へ入国できないなどを意図的に悪用している可能性がある。

 加えて、2016年1月に北朝鮮で拘束されて翌17年6月に昏睡状態で帰国した直後に亡くなった米大学生オットー・ワームビアさんの件を受けて、アメリカ政府が2017年9月1日からアメリカ人の北朝鮮渡航を禁止したことも関連があると考えられる。正確には、訪朝はできるが、アメリカへ帰国できないというものになる。

日本国憲法に私権を制限する条文がないのでロックダウンも訪朝全禁もできない

 さて、このアメリカ政府によるアメリカ人の北朝鮮渡航全面禁止を受けて、「どうして日本は同様の訪朝全面禁止ができないのか?やるべきだ」という声が上がることがある。

 これについては、今回の新型コロナウイルス対策で世界中で実施された強制力をともなうロックダウン(都市封鎖)を日本ではできず、自粛要請しかできないのと同じことだと分かってきたのではないだろうか。

 つまり、日本は戦前の反動から戦後、個人の権利(私権)を制限することへ尋常ではない拒否反応を示す反対勢力が強く、仮に明らかに国益に反する状態や国家存亡の危機であっても移動の自由を保障する日本国憲法があるため禁止すると憲法違反になりかねず、政府による私権制限に限度があると識者らは見解を示している。
 

「渡航を自粛してください。」が限度の日本。全禁するためには?

 そのため、日本人の北朝鮮渡航は、

全土:「渡航を自粛してください。」(継続)
外務省 海外安全ホームページ
 
 と強制力のないの自粛呼びかけにとどまっているのだ。

 もしロックダウンや北朝鮮渡航全面禁止を主張するならば、憲法改正やら加憲をする必要があるということだ。主張するならぜひセットで訴えてもらいたい。

 ちなみに、1991年3月31日までに発行されたポスポートの渡航先欄には、「このパスポートは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を除くすべての国・地域に有効です」との一文があったのをご存知だろうか。この一文は、今から30年前の1990年の金丸信自民党副総裁(当時)の訪朝を機に削除されて今にいたっている。

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