平壌の5つのホテルへ部分改修が指示される

平壌の5つのホテルへ部分改修が指示される

リニューアルされて日本人も宿泊できるようになった西山ホテル

 金正恩委員長は10月上旬に平壌の主要ホテル5つのホテルの改修を指示したと韓国メディアが伝えている。記事によると、指示は全面改修ではなく、ホテルごとに客室だったり最上階の回転レストラン、地下のボウリング場と細かく部分改修指示を出したようだ。

 北朝鮮は国連制裁に抵触しない観光業へ力を入れており、数年前にも国際的な5つ星ホテルの基準の調査をしたりして、北朝鮮にも他国に負けないような5つ星ホテルをと動いていた。

 以前にもご紹介したが、いわゆる日本ではホテルの等級を表示しない。しかし、日本以外ではホテル予約サイトやホテル公式サイトなどに獲得等級が星マークで大きく表示されていてホテル選びの基準となっている。

 実はホテルの等級には国際的な統一基準は存在していない。では、どうやって決めているのかというと、世界展開する大手のホテルグループの基準がグローバルスタンダードとなり事実上の国際基準となっているようだ。いわば先行の利に近いものらしい。

盗聴?マジックミラー?止まらない謎の階?噂が多い北朝鮮のホテル

 北朝鮮のホテルと言えば、盗聴されているとか、マジックミラー越しに監視されているとか、エレベーターが止まらない階があるとか話題には事欠かない。

 今回、改修指示が出されたのは、「高麗ホテル」、「羊角島ホテル」、「西山ホテル」、「普通江ホテル」、「平壌ホテル」の5つとなる。

 日本人が北朝鮮へ旅行すると大きなイベントがなければ、 高麗ホテルか羊角島ホテルに宿泊となる。この2つのホテルが北朝鮮の最高級グレードで北朝鮮独自の等級でもある特級ホテルとされている。
 
 高麗ホテルは最上階の回転展望レストランと地下のレストラン(カフェ?)、羊角島ホテルも最上階の回転展望レストランと地下のボウリング場、ゲームセンター(おそらくカカジノのこと)を改修するようだ。

 両レストランとも回転して平壌の360度の風景が楽しめることがウリだが、最近、訪れた観光客によると回転していないことも多いとの感想も聞かれる。調子が悪いのか、電気代の節約かもしれないが、いずれも改修対象となった。


夜になるとホテル周辺は真っ暗になる羊角島ホテル

特級ホテルより高い普通江ホテル

 他のホテルはこれまで日本人は訪朝リピーターで熱心に希望でもしない限りは泊まれなかった西山ホテルが、近年、急増した平壌マラソン参加ランナーへ対応するための特別ルールとして平時の旅費で日本人も宿泊するようになった(追加料金を払って特級ホテルとの2択)。また大型イベント開催時にも宿泊先となることがある。同ホテルは、お湯が出なかったり、茶色の水が出るとの声もあるが、内装はリニューアルされたばかりなのできれいだ。西山ホテルはゲストルーム30室の改修が決まった。

 4つ目の普通江ホテルは密かに人気があるホテルだったりする。西山同様1級ホテルに区分されているが、実は、宿泊料金は特級ホテルより高く追加料金が必要となる。

 普通江ホテルは「150円で『平壌なう』ができる場所」としてご紹介したホテルで、1階フロアで有料のWi-Fiサービスが利用できるためWi-Fiを利用するため訪れる非宿泊者も多い。普通江ホテルはホールとゲストルーム80室の改修が決まった。


有料Wi-Fiサービスを利用すれば平壌なうができる普通江ホテル
 

平壌外資1号ホテルを狙う世界の5スターホテル

 最後の平壌ホテルは在日朝鮮人などの特別訪問で利用されることが多く、日本人も含めて外国人の宿泊は非常に少ないようで旅行代理店にも存在を知られていない。ある意味、神秘性が高いレアホテルだ。

 航空写真で見るとコの字型をしており外観は役所のようなシンプルな5階建てのホテルとなっている。平壌ホテルはホテル内のショップが改装される予定だ。

平壌大劇場向かいにある平壌ホテル

 すでにこれらの改修工事は今月中旬から始まっているようで、金正恩委員長は2021年末までにすべての改修工事を終えるように指示したとのこと。今回の5つのホテルへの改修指示は、来年の観光業本格再開を見据えたものだと考えられ、1年2か月をかけた工事になるが、部分工事のため宿泊させながら並行して工事を進めるとみられる。

 まだ先の話になるかもしれないが、経済制裁が解除されると海外からの投資も解禁されると予想される。そのときをビジネスチャンスと考えるグローバル展開する5つ星ホテルグループは平壌に外資1号ホテルとしての進出を虎視眈々と狙っており、各グループが平壌進出を念頭に調査を重ねているとの情報も中国経由で漏れ伝わってきている。

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