金建希氏「あるお坊さんから紹介された」

金建希氏「あるお坊さんから紹介された」

金建希夫人と尹錫悦大統領 出典 The_20th_Presidential_Inaugural_Dinner_04 / koreanet

 就任早々の新大統領には、何かと注目が集まる。

 が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の場合は、その夫人である金建希(キム・ゴンヒ)氏のほうがマスコミに登場することが多い。SNSのランキングでも常に夫よりも上位にある。

 大統領就任時にファーストレディーが、これだけ目立つのは前代未聞なことだという。

 彼女の経歴には謎な部分が多い。しかも、これまでの大統領夫人と比べると若くて美人…。そのビジュアルが、ミステリアスな魅力を増幅する。気になるのは当然だろうか。

 金建希氏は1972年9月2日生まれ。京畿大学で絵画科を卒業した後、名門ソウル大学大学院に進んで経営学修士号を取得した才媛だ。

 尹大統領とは12歳の年齢差がある年の差婚。そのなれそめに関しては、大学院生時代に建設会社社長に紹介されたとか、食事会で出会い意気投合したなどの諸説ある。

 彼女本人は「あるお坊さんから紹介された」と言うのだが、このあたりもまた謎が多い。

共に民主党の議員が過去の顔写真を載せる

 謎多き美人妻は、大統領選の時からすでに注目の的だった。

 対立候補の陣営からは、格好の攻撃材料になる。共に民主党議員が、彼女の過去の写真を入手して自身のフェイスブックに載せ、整形疑惑を提起している。この議員の良識のほうが疑われる行為ではあるのだが。

 左派候補を応援する文在寅(ムン・ジェイン)政権でも捜査チームを編成し、政権の総力を挙げて徹底的に調べ上げたようだ。

 彼女は美術品の企画展示をイベント会社の代表だが、企業の株価操作に関わった疑惑が浮かび上がってくる。

 また、過去に水商売のホステスをしていたとか、私立大学の兼任教授就任の際に虚偽の経歴を記入したとなど、徹底調査のかいあって攻撃材料は十分すぎるほどに集められた…、はずだった。

 しかし、そういった疑惑が彼女や夫である尹錫悦氏のマイナスにはならなかった。

疑惑を好感度に変えてしまう謝罪会見の達人

疑惑を好感度に変えてしまう謝罪会見の達人

ネイバー上にあるファンサイト「建サラン」

疑惑を好感度に変えてしまう謝罪会見の達人

 大統領選が白熱した2021年12月26日に、彼女は対国民謝罪会見を開いている。この時に疑惑のある職歴や受賞歴について、

 「自分をよく見せようと、話を膨らませました」

 と、経歴詐称を認めて陳謝した。整形疑惑が持ち上がった時にも、

 「大学生の時に二重形成手術をしました」

 そう言って潔く認めている。

 著名人が疑惑に対して苦しい言いわけして、激しい批判が浴びせられ大炎上。と、そんな事例は多く目にしてきた。

 彼女は同じ轍(てつ)を踏まず、認めるべきは素直に認めて真摯に謝罪する。その態度は清々しい印象を人々に与えたようだ。

 昨年からすでに彼女のファンサイトがあり、今年1月の時点で会員数約3万5000人を集めていた。謝罪会見後は、その会員数が急増し、現在は9万人を突破する勢いなのだとか。

5年後には2人目の女性大統領誕生か!?

 敵陣営による疑惑追求は、謎多き美女の魅力と、その好感度を増すプラス効果しかなかった。

 その結果、今や大統領をしのぐ人気ぶり。ヒラリー・クリントン氏のように夫の引退後は、大統領候補になりそうな未来も見えてきた。

 実際、彼女もそれを想定して色々と準備しているようでもある。

 韓国では「配偶者リスク」という言葉があり、大統領の退任間際には、夫人の不正疑惑が持ち上がるのが常。それを用心して、代表を務める会社を休眠させて禍根を断っている。

 また、文在寅大統領夫人の金正淑(キム・ジョンスク)氏の高価な衣装や装身具が、公費の乱用として糾弾されたのを反面教師にしたのだろう。最近では、安価な大衆ブランドの服ばかりを着るようになった。

 安物の服や靴も、スタイルが良くて美人の彼女が身に着けるとさまになる。

 それがすぐに話題となり売り切れることから「完売女王」と呼ばれ、不況のアパレル業界で崇められているという。

 しかし、ファーストレディーとなれば、これまで以上に注目が集まるだろう。

 彼女を巡る数々の疑惑にもさらなる追求の手が伸びることが予測される。

 今後もこれまでのように上手く対処できれば、5年後には2人目の女性大統領誕生も、十分にあり得そうなのだが。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。 

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA