また、北朝鮮の外貨獲得手段でもある中朝貿易が低迷していることは、北朝鮮の保有外貨量にも大きな影響をおよぼしていると考えられる。制裁が解除されなければ北朝鮮は早急に新たな外貨獲得手段を見つけなければいけない状況にある。

 今年2月のハノイ会談で北朝鮮が米国と対立してでも一部制裁解除を要求したことは、制裁による影響が大きいことの表れとも言える。
 

今後の対北制裁措置はどうなる?中朝関係に注目

今後の対北制裁措置はどうなる?中朝関係に注目

地球儀で見る中国大陸と朝鮮半島

今後の対北制裁措置はどうなる?中朝関係に注目

 ここで気になるのは、中朝関係と制裁履行のバランスである。

 2018年に中朝首脳会談が3回行われるなど中朝関係は急激に緊密化しているが、前述のとおり貿易統計上は中国の制裁への取組姿勢に変化は見られないという状況にある。

 一見すると、中国は、中朝関係と制裁履行は別問題と考えているように見える。

 ただ、この貿易統計が実態をどの程度正確に反映しているかについては十分検証する必要があるだろう。

 統計値に実態が反映されていない物流が存在する、もしくは統計に意図的な操作が加えられている可能性も否定できない。

 実際、統計に表れない「背取り」(海洋上において船から船へ船荷を積み替える密輸)が行われていることも指摘されている。さらに、米朝交渉が膠着(こうちゃく)して制裁が継続されれば、中朝関係の改善が進む中で中国の対北制裁措置が緩む可能性も否定できない。

 いずれにせよ、現在、米国と貿易摩擦で対立している中国は、米朝交渉および半島情勢におけるキープレイヤーとして存在感を増していくことは間違いない。

 米朝交渉が進展してもしなくても、北朝鮮は中露と経済面、政治面において関係を強化していくだろう。

 近く行われるであろう5回目となる中朝首脳会談をはじめ、今後も中朝関係の動向に注目していきたい。

八島有佑

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