中国の宣伝工作「偽情報の流布」を指摘

 また、防衛白書では、新型コロナに乗じて中国が力を強めていることに警戒心を示している。

 中国が、「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国際的な協調・連携が必要な中、東シナ海においては、力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続」と指摘。

 さらに、「中国などは、感染が拡大している国々に対する医療専門家の派遣や医療物資の提供を積極的に行うとともに、感染拡大にともなう社会不安や混乱を契機とした偽情報の流布を含む様々な宣伝工作なども行っていると指摘される」と一歩踏み込んだ言及となっている。

 「偽情報」の一節は外国メディアも注目して報じている。

 防衛省当局者は外国メディアの質問に対し、(1)「新型コロナウイルスは米軍関係者によって武漢に持ち込まれた」、(2)「漢方薬が新型コロナウイルス感染の治療に効果がある」といった中国発信の誤情報がこの偽情報に含まれると明かしている。

中国「白書ではなく黒い資料」と反論

 これらの防衛白書における記述に対して、中国外務省報道官は7月14日に非難をおこなっている。

 その内容は、「『白書』と言うが実際には『黒い資料』だ。日本の一部勢力の悪意があらわとなっている」、「日本の防衛白書は偏見と偽情報に満ち、中国の脅威をやたらとあおり立てている」というものである。

 つまり、「防衛白書の内容はまったくの偽である」というのが中国の主張だ。

 一方、河野太郎防衛大臣は7月17日の記者会見で、記者から「中国外務省報道官による非難をどう受け止めるか」と尋ねられたが、「いちいちコメントする必要はないと思います」と答えている。

 中国の非難に取り合わず、強固な姿勢を示している。

 日本政府がここまで中国の脅威を強調したのは強い危機感のあらわれであり、防衛白書を通して国民とその理解を共有したいという日本政府の意向がうかがわれる。

防衛省『2020年版防衛白書

八島 有佑

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