拉致問題は「解決済み」と繰り返し主張

拉致問題は「解決済み」と繰り返し主張

厳しい寒さで凍結する大同江

 また、昨年9月に菅義偉政権が発足した際にもリアクションがあった。

 菅首相は就任当初から「安倍路線継承」を表明しているが、これに対して「軍事大国へと進む企図を露骨に表している」などと繰り返し非難する談話を発表した。北朝鮮は安倍前首相が辞任した後も名指しで非難しているくらいなので、安倍路線を相当警戒していると言える。

 さらに、拉致問題については「解決済み」と重ねて主張し、拉致問題を交渉の最重要課題としている菅政権をけん制した。

 最近でも、菅首相が1月18日に「拉致問題については私自らが先頭に立ち、米国を含む関係国と緊密に連携しつつ全力を尽くす」と発言したところ、朝鮮中央通信(2月2日付)が「虚勢」や「妄言」と非難する論評を掲載した。

 論評では、「日本は被害者を装い、過去に行った世界最大の拉致犯罪(強制連行)を覆い隠そうとしている」、「(解決済みの)拉致問題に執着し続けるのではなく、我が人民に行った反人倫犯罪について謝罪、賠償すべき」と指摘。

 「日本が被害者で、北朝鮮が加害者」という構図を真っ向から否定している。

日朝交渉の3条件

 これらの論評を読み解くと、日本に対する要求の大きな柱は、1.朝鮮学校への差別是正を含む在日朝鮮人への対応改善、2.制裁など対北朝鮮敵視政策の撤回、3.その他、過去清算(植民地支配による人的・物的被害等)と言える。

 これらは北朝鮮が以前から訴えていることであり、いわば北朝鮮が日本との対話に応じるための3条件とも言える。

 菅首相は1月13日に「金正恩(キム・ジョンウン)委員長と条件をつけずに直接向き合う決意」と表明している。

 だが、菅政権としても拉致問題を置き去りにできないのはもちろんだが、このように北朝鮮側としてもすでに条件を出している状態と言える。

 結局のところ、「無条件会談」は双方にとってもありえないことなのだから、もし日本政府が日朝対話を実現させようとするならば、北朝鮮側の条件に何らかのアクションを起こす必要がある。

八島 有佑

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