つまり、中国も韓国も、漬物の起源を争っているということにならないか。とすれば…、海水から取った塩を使って、野菜や肉類を漬け込み保存する方法が、太古の時代からすでに世界各地にある。漬物の起源をそこまでさかのぼると、もはや発祥地を探すのは無意味な作業と思えてくる。

 日本でも縄文時代からすでにワラビなどの山菜を塩漬けして保存していた。ヤマトタケルの東征でも漬物が献上されたとされている。

 また、キムチと同様に発酵を伴う漬物は、日本各地に古くから存在し、キムチには不可欠の唐辛子も16世紀に日本から朝鮮半島に伝わったものだ。それ以前のキムチは塩漬けだったが、塩の値段が高騰してその代用に唐辛子を使うようになったのである。

 つまり、キムチは近世になって完成したものなのだ。唐辛子を使ったのは韓国より日本のほうが早い。これは、キムチ日本起源説を唱えることもできそうだが…、面倒なことになりそうだから、止めておいたほうがいいだろう。
 

キムチは100種類以上ある漬物の総称

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。

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