「尹東柱は中国人ではない」

「尹東柱は中国人ではない」

中国籍と紹介する百度百科。上段では誰でも無料で編集できると強調している

「尹東柱は中国人ではない」

 また中韓がもめている。今回は27歳の若さで亡くなった詩人の尹東柱(1917年~1945年)についてである。

 中国は尹東柱を中国籍にしている、と韓国が主張して訂正を求めている。尹東柱の命日である2月16日にも韓国・誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授が、中国の百度(バイドゥ)に抗議文を送ったと韓国・中央日報が伝えている。

 問題としたのは、バイドゥが運営する「百度百科」の尹東柱の国籍=中国、民族=朝鮮族となっている点。現時点でも確認できる。

環球時報参戦でSNS炎上

 百度百科は、中国国内でアクセス禁止にしているウィキペディアに変わるようなものとイメージしてもらっていい。ウィキペディア同様に誰でも自由に編集できると謳っている。

 しかし、現実的には、中国政府の監視下に置かれているため、仮に修正しても中国政府にとって都合の悪い内容だと即再修正される。以下は推測であるが、韓国の関係者が何度も国籍や民族を修正しても速攻で戻されるを繰り返しているのだろう。それで業を煮やしたての抗議文を広く公開することで話題にしようと動いたと考えられる。

 それに対して、中国のSNS微博(ウェイボー)には、韓国を批判する投稿が無数に発信されている。16日には、ついに官製の環球時報が報じたことでSNSはさらに炎上することになる(19日23時時点で476件のコメントが入り、表示されているコメントは主に韓国批判)。

 キムチ論争のときも同様だった。少し遅れて環球時報が登場して炎上させたのとよく似た展開を見せている。環球時報の論評は、すなわち中国政府の意向と考えて差し支えない。

遡及して歴史的に存在しない国の人間に

遡及して歴史的に存在しない国の人間に

キムチやカッ(両班の帽子)、韓服まで中国は奪おうとしていると伝える 出典 聯合ニュース

遡及して歴史的に存在しない国の人間に

 環球時報は、中国は尹東柱の国籍を中国とは定めていない。現在の国籍法と歴史的な背景を鑑みると、尹東柱の国籍を定めることは、非常に難しいからだと伝えている。

 ウェイボーには、韓国は尹東柱を韓国人と主張しているとの書き込みがやタグが散見されるが、今、韓国語の原文記事で探しても尹東柱を韓国人と主張している記載は確認できない。

 それもそのはずだ。尹東柱が生まれた1917年は、中華人民共和国は存在しない。当然、韓国も存在しない。

 歴史の教科書では、尹東柱生誕当時の満州間島明東村(現在の吉林省龍井市)は中華民国と習うかもしれないが、実際に中華民国が間島を統治できていたかには懐疑的な声も根強い。

 「尹東柱さんは民族の誇りだと思っています。韓国は都合よく抗日(反日)や政治の道具に利用しています。尹さんの詩には抗日も政治的な思想めいたものもありませんから」(延吉出身の中国朝鮮族50代男性)
 
 中国も尹東柱を「愛国詩人」などと祭り上げているので、韓国と五十歩百歩だと言える。

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