命を断つ瞬間をスマホの動画に残して自殺した女性兵士

命を断つ瞬間をスマホの動画に残して自殺した女性兵士

9月13日に開催された米陸軍ジョアン・ナウマン少佐と韓国軍女性兵らとのフォーラム後の記念撮影 出典 在韓米軍

 8月13日、韓国国防省が海軍の基地内で女性兵士の遺体が見つかったことを発表した。女性兵士は今年の5月に上官から性暴行を受けたことを訴えていたが、軍の上層部はろくに調査せずに黙殺したという。それに対する抗議の自殺と思われる。

 韓国軍内ではこれに類似した事件が頻発しているだけに、事件はAFPなど外国通信社からも報道され注目を集めている。

 たとえば今年3月にも、忠清南道瑞山市の空軍基地で女性下士官が同僚から性暴行を受けたという訴えがあった。宴席の出席を強要されて酒を飲まされ、帰路の車中で襲われたという。この時も部隊の上層部は騒ぎが大きくなることを嫌って、彼女を襲った同僚を処罰することなく事件のもみ消しを図っている。これに失望した女性兵士もまた「私の体は汚れた」という遺書と命を断つ瞬間をスマートフォンの動画に残して自殺した。

 それによって事件が発覚、韓国内のマスコミ各社でも大きく報道されて軍への抗議が殺到。翌月には空軍のトップである李成竜(イ・ソンヨン)参謀総長が辞任する騒ぎにまで発展したのだが…、悲劇はまた繰り返されてしまう。

 軍隊内では女性兵士の性被害がなくなることがなく、それを隠蔽しようとする軍上層部の思考もあいかわらずなようだ。

レイプ事件の多さはアジアでも断トツ

 性犯罪への認識の甘さは、韓国軍内だけではなくこの国全体が抱え持つ問題でもある。

 2014年の国連統計等から作成された資料によれば、韓国のレイプ発生件数は世界第4位。人口10万人当たり33.7人がレイプ被害にあっている。これは10万人あたり2人以下の日本と比べて極めて高く、アジア諸国のなかでも飛び抜けた数字だ。

 韓国と同様にレイプ犯罪が多い国として知られるインドの場合は、カースト制度による身分意識がその大きな要因とされている。上位カーストの男性は、下位カーストの女性に対して何をやっても許されるという特権意識が強いのだとか。

 韓国もまた上下意識が強い儒教の影響が色濃くお国柄。会社や学校でも立場が上の者は横暴が許される風潮がある。そのあたりが関係しているのだろうか。階級によって上下の違いが明確な軍隊内ではなおのこと、上官は女性の部下に対して何をやっても許される。と、慢心や勘違いを起こしやすい環境なかもしれない。

 また、韓国女性は純潔意識が高く、レイプ被害者が体を汚されたことを恥じ、自殺することが他国に比べて多いという。これに関しては、調査資料がなく事実はわからないのだが、軍隊内でレイプ被害を訴える女性が相次いで自殺していることを考えると、それにも信憑性があるような。

女性徴兵制度導入を目前に問題は山積み

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韓国がアジアで群を抜く1位のレイプ犯罪国であることは紛れもない事実だ

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 ちなみに、ハンギョレ新聞が「女性兵士」をキーワードに検索抽出したところ、軍事裁判所の91件にもなる判決文のうち96.7%にあたる88件が、強制わいせつや準強姦などの性犯罪だったというから驚く。

 その訴えの約60%は上官による性暴行。狙った女性兵士を命令によって有無を言わせず飲み会に出席させ、酒を強要し酩酊したところで、ホテルや宿舎に連れ込んで性的暴行を行う。そういったパターンがかなり多い。また、男性の上官が指導を口実に女性兵士の体に触るのは日常茶飯事なのだとか。

 韓国では次期政権で女性への徴兵制度導入される可能性もでてきたが、この状況で「ホントに大丈夫なのか?」女性兵士が大量に入営する前にまず、韓国軍内の意識改革を急ぐ必要があると思う。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。

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