クイーン・エリザベスへ関心高まる韓国

クイーン・エリザベスへ関心高まる韓国

空母クイーン・エリザベス 出典 Dave Jenkins- InfoGibraltar [Public domain], via Wikimedia Commons

クイーン・エリザベスへ関心高まる韓国

 英国海軍の空母「クイーン・エリザベス」が、5月末に英南部の海軍基地を出航。7か月をかけてインド太平洋の諸国を歴訪し、海上自衛隊や米海軍との合同訓練も予定されている。

 中国による香港民主派の弾圧や南シナ海での領有権主張は、英国の国益にも悪影響を及ぼす。空母派遣は中国を牽制する目的が多分にある。それだけに中国政府が反発するのは当然。また、心強い味方の到来には、日本や米国からも注目されている。それどころか、これまで南シナ海問題への関心が薄かった韓国でもクイーン・エリザベスへの関心が高まっているという。

  クイーン・エリザベスは2014年進水、17年就役の最新鋭空母で、排水量6万5000トン、全長284メートルを誇り、建造費は約31億ポンド(約4800億円)とされる。

「いずも」よりも大きな空母を建造

 実は韓国海軍では90年代から空母建造計画がある。予算や技術的な問題からいまだ実現に至っていないのだが、2020年8月に韓国国防省が「2021年から空母の建造に着手する」と発表。2033年頃の就役を予定しているという。中央日報など新聞各紙で完成予想図が掲載され、突如として話が現実味を帯びてきた。

 海上自衛隊がいずも型護衛艦の空母改装に衝撃を受けた韓国側が、対抗心から空母保有を決心したとも言われている。

 韓国が建造する空母は、「いずも」よりもひと回り大きな3万トン級で、建造予算は17億5000万ドル(約1920億円)。搭載される艦載機は垂直離発着可能なステルス戦闘機F35Bになるが、こちらも1機あたり1億130万ドル(約111億円)の高価な兵器だ。建造費や装備品に加えて、空母は運用にも多額なコストがかかる。韓国海軍の予算規模ではかなり厳しい。

イギリスが空母技術を供与?

イギリスが空母技術を供与?

CNNなど外国メディアが高い関心を示す韓国空母と伝える 出典 東亜日報

イギリスが空母技術を供与?

 また、予算に加えて技術的な問題も多々あり、これまで空母の建造や運用経験のない韓国だけに独力での建造はまず不可能。海外からの技術供与が必要になってくるのだが、ここで名乗りを上げたのが英国だった。

 今年3月、英国の国際貿易部が韓国側と空母に関する技術供与に関する非公式の協議を行ったと、英紙デイリー・テレグラフが報じている。それが韓国でも話題になった。空母クイーン・エリザベスの開発にかかわったBAEシステムズなどが、空母に関する先端システムと設計を韓国に輸出する可能性があるというのだ。

 同艦は韓国への寄港も予定しているが、韓国内には空母保有に反対する勢力も多いだけに、議論がさらに白熱することが予想される。


South Korea Is Building It’s First Aircraft Carrier

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)などがある。

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