他の国々でも、国土に面する海をその方角で呼んできた例は多い。たとえば、中国では、日本で東シナ海と呼ばれる海を東海と呼び、元や明代では、日本海を鯨海と呼んだりもしていた。さらに歴史をさかのぼれば、秦の時代の徐福伝説にも東海の呼称が登場するが、ここで言う東海は、東シナ海、日本海、太平洋も含めて中国大陸東側の海域を広く東海と呼んでいたと推定される。

 また、バルト海諸国でも、それぞれの国が自国から見た方角で東海、西海、南海などと呼んでいる。

 だが、国際的に使用される海名とは切り離して考えるべきだろう。愛称と正式名称は違う。大半の国では、それをわきまえて、状況に応じて使い分ける。問題が起こることはまずない。中国でさえ日本海の表記に異を唱えたことはないのだが…。
 

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。

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