1月5日、北朝鮮が新型ミサイル発射実験

1月5日、北朝鮮が新型ミサイル発射実験

1月5日に北朝鮮が極超音速ミサイル実験を実施。6日付の労働新聞より(提供 コリアメディア)

 北朝鮮国営メディア・朝鮮中央通信は1月6日、「国防科学院が5日、極超音速ミサイル試験発射を行なった」と発表した。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、発射実験に立ち会わなかったとみられる。

 日米韓の各発表によると、北朝鮮は5日午前8時10分頃、内陸部の慈江道付近から日本海に向けて新型弾道ミサイル1発を発射。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられている。

 北朝鮮は、超音速兵器について、第8回党大会(2021年1月)で示した「国防科学発展と兵器体系開発5か年計画」の「戦略兵器部門最優先5大課業」の一環と位置付けている。

昨年と異なり詳細は公表せず

 北朝鮮は、昨年9月28日に初めて極超音速ミサイル試験発射を行なっており、今回が2回目。

 なぜ、このタイミングで発射実験を行なったかは不明だが、前回(昨年9月)の実験と今回とで報道にいくつか異なる点がある。

 まず、昨年の初実験では、新型兵器を「火星8」型と明記していたが、今回は「極超音速ミサイル」としか言及していない。

 次に、前回はミサイルの発射地点を「慈江道龍林郡都陽里」と発表していたが、今回は明らかにしていない(韓国軍は、前回と同じく慈江道付近と分析している)。

 発射実験の立会人についても、前回は党政治局常務委員である朴正天(パク・ジョンチョン)氏が立ち会ったと発表したが、今回は、「党中央委員会の軍需工業部と国防科学部門の該当指導幹部が参観した」とだけ伝えており、幹部の名前は明記されていない。

 このように情報を秘匿しているのかもしれないが、昨年の実験時の報道と比較すると、わからない部分が多い。

飛距離700キロと公表

 一方、飛距離など実験結果については、今回の方が具体的に報じられている。

 前回の実験では、「ミサイルの能動区間で飛行制御性と安全性」や「分離された極超音速滑空飛行戦闘部の誘導機動性と滑空飛行特性をはじめとする技術的指標」が実証されたとだけあり、飛距離などは公表しなかった。

 だが、今回は、「ミサイルは発射後分離され、極超音速滑空飛行戦闘部の飛行区間で初期発射方位角から目標方位角へと120キロ・メートルを側面起動して700キロ・メートルに設定された標的を誤差なく命中した」と発表している。

 昨年9月の発射時には、韓国国防部は、「最大高度30キロ・メートル、飛行距離200キロ・メートル以上」と分析していたが、北朝鮮は予想を上回る能力を備えたことになる。

 そのほか、冬季の気候条件での「燃料アンプル化系統の信頼性」も検証されたとのことだ。
 アンプル化とは、液体燃料をミサイルに装填した状態で長時間の保管を可能にする技術で、機動性を向上させる効果がある。北朝鮮では、昨年の初実験で初めて導入された。

 発射地点などは秘匿しているのにミサイル性能については、比較的、細かく伝えていることから、今回は新型ミサイルの能力を強調することが狙いなのかもしれない。

「党中央」の祝福

 今回の実験結果に、「党中央は試験発射結果に大きな満足を示して、該当国防科学研究部門に熱烈な祝賀を送った」と報じている。

 「党中央」は、昨年10月の党創建76周年記念演説において金正恩総書記が多用するなど、ここ最近頻出しているキーワードである。

 党中央という語が、何を指しているかは明らかにされていないが、特定の人物、もしくは、限られた指導部を指していると推測される。

 昨年9月の実験時には、党中央の祝賀について言及がなかったことから、今回は「大成功」という位置づけなのだろう。

再実験の背景

 では、なぜこのタイミングでミサイル発射実験を行なったのだろうか。

 北朝鮮は昨年10月19日、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行なって以降、弾道ミサイル発射など目立った行動を見せてこなかった。

 この間、韓国が間に立って、朝鮮戦争の終戦宣言を巡り米国や中国と協議を行なっていたことから、北朝鮮側も自制していたと考えられる。

 だが、対話に積極的な文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期ものこりわずかな上に、米国がいつになっても北朝鮮の求める敵視政策撤回に応じないことから、相当ないらだちがあるとみられる。

 今回のミサイル実験には、米国に態度の転換をせまる狙いもありそうだ。

 北朝鮮では、昨年末に党中央委員会総会が開催され、2022年の方針が決定したが、核・ミサイル戦略や対米・対韓方針については、公表されていない。

 1月8日に誕生日を迎える金正恩総書記が、何らかの対外メッセージを発表するか注目される。

八島 有佑
@yashiima

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