それでも事実を否認する韓国政府

それでも事実を否認する韓国政府

「KBS解体せよ」などと書かれた横断幕(著者撮影)

韓国 言論封じと歴史歪曲も辞さない 自分たちが加害者になった時…の続き。

 フォンニィ・フォンニャット事件の裁判で韓国政府は、原告側の主張には、韓国軍による虐殺を証明する十分な証拠はないとして、あくまで虐殺を否定している。

 さらに、「ベトナム民族解放戦線(ベトコン)が、心理戦のために韓国軍に偽装し民間人を攻撃した可能性があり、韓国軍が民間人を殺害したとしても、交戦状態において村の住民を敵と誤認した可能性を排除できない」とも主張し、韓国側の責任を否認している。

 慰安婦や徴用工問題では、十分な証拠も証言もないのに「強制連行だ」「強制労働だ」と主張する一方、自分たちが加害者になった時には、十分な証拠があっても完全否認する。実にわかりやすい典型的なダブルスタンダードである。

 証拠と言えば、韓国兵などがベトナム女性との間に残した混血児「ライダイハン」の数は2万人とも3万人とも言われる。

 戦場でベトナム女性を強姦し、あるいは、慰安所で「性奴隷」とした紛れもない証拠だが、これについて韓国政府はいまだに謝罪したことはない。

ベトナム戦争10年間で10億ドル以上が韓国へ

ベトナム戦争10年間で10億ドル以上が韓国へ

2000年に老兵らに襲撃された左派系新聞のハンギョレ新聞本社(著者撮影)

 ところで、ベトナム戦争では、韓国は延べ17万人を派兵し、それらの兵士の戦闘手当てなどすべての賃金は、米国から供与され、そのほとんどが外貨として本国に送金された。

 その他、物資の輸送や役務の提供などを含め、ベトナム戦争の10年間で総額10億ドル以上の外貨がベトナム特需として韓国にもたらされたと言われる。

 これらの外貨は、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる朴正煕(パク・チョンヒ)時代の経済建設に使われ、高度成長を達成した。

漢江の奇跡でも日本の5億ドルはなかった!?

漢江の奇跡でも日本の5億ドルはなかった!?

大音量のスピーカーと花火の煙幕まで使って抗議(著者撮影)

 ちなみに、韓国の歴史教科書では、日本が韓国へ有償無償5億ドルの経済協力金を支払った事実を教えていない。

 漢江の奇跡に関する説明では、経済建設に使われた外貨は、ベトナム戦争に参戦した兵士の給料と、西ドイツに派遣された鉱山労働者8000人と看護師1万人の賃金だったとし、1965年の日韓請求権協定で日本が支払った有償無償5億ドルの経済協力金については、一言の説明もないことをご存知だろうか。

 韓国の大法院が、2018年に日本企業への賠償を命じた徴用工裁判の判決とその後の日本企業の韓国内資産の現金化手続きのニュースに対する韓国のネットユーザーたちの反応の中で驚くのは、今回の裁判をきっかけに「日本が1965年の日韓請求権協定で5億ドルの経済協力金を支払ったことを初めて知った」というコメントの多さだった。

 教科書で教えていないのだから当然だろう。

 歴史問題で韓国は常に「日本は歴史を歪曲している」と叫ぶが、歴史の真実を隠ぺいし、ねじ曲げているのは韓国のほうだ。

小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から現在までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。

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