韓国製戦車1000両導入の大型契約

韓国製戦車1000両導入の大型契約

お笑い?弱い?高コスパ?なK2戦車 出典 Simta [Public domain], via Wikimedia Commons

 7月27日にソウル聯合ニュースが報じたところによれば、ポーランド政府が韓国から戦闘機や戦車、自走砲など大量の兵器を購入する契約を結んだという。

 K2戦車については、1000両を導入する大型契約が成立している。

 韓国で生産する180両は今年中に輸出を開始し、2026年にはポーランド仕様の改良型K2PLが現地生産される予定。将来的には、これがポーランド軍の主力戦車になりそうだ。

 K2戦車は、日本のネットユーザーの間で“ポンコツ”というのが定説。「パワーパックに欠陥が多発している」「坂道を登れない」などと嘲笑するようなコメントがネット上では目立つ。

 それでもポーランド政府はK2の導入を決定した。また、ノルウェーやオマーン、エジプトなども導入に乗り気だという。なんだか、日本の噂(うわさ)と世界の兵器市場の評価は乖離しているような気がするのだが。

ウクライナ紛争が韓国の兵器輸出を後押し

 まずは、ポーランドが韓国製兵器の大量購入に踏み切った理由だが、これはウクライナ紛争が影響している。

 ポーランド政府はウクライナに多くの兵器を供与していた。

 中でも戦車については、ポーランド軍が保有する4分の1に相当する200両の旧ソ連製のT-72を与えている。そのため、ポーランド軍では戦車が不足し、早急に補充する必要があった。

 そこで手を挙げたのが韓国だった。180両の戦車をすぐに輸出することが可能だという。しかも、量産が開始されて10年も経っていない世界水準の最新鋭戦車である。それが欧米よりも格段に安い価格ですぐにそろうのだ。

 「早い、安い」は、商売において強いセールスポイントになる。特に戦車のように数をそろえなくてはならない兵器については、かなり重用な条件にもなってくる。

信頼性を補う魅力ある韓国の提案

 また、ポーランド軍には旧ソ連製の古い戦車が多く、そろそろ次期主力戦車を導入せねばならない時期でもある。

 しかし、多くの欧州諸国が現在の主力戦車として運用するドイツのレオパルド2は、もはや前時代の代物ですでに生産を終了している。

 今は、独仏が共同で新型戦車の開発に着手しているが、生産が開始されるのは2035年だという。

 ロシアの脅威が身近に迫るポーランド軍が置かれた状況では、それを待ってはいられない。

 そこで韓国は、K2戦車をさらに推した。

 発注数の80%以上を国内生産と技術供与を条件に、合計1000両の大型商談をまとめたのである。

 信頼性の点では欧米製兵器には劣るが、韓国の提案はそれを補って余りある魅力だった。主力戦車を国内生産できれば部品供給も容易となり、軍事技術も発展する。

ドイツの承認なしには輸出もできず…

 ポーランドが置かれた状況を見抜いて、韓国は実にうまい商売をやったと思う。

 が、今後さらに兵器産業を発展させてゆくためには、クリアしなければならない問題がある。

 K2戦車については、パワーパック(エンジンと変速機を結合させた動力装置)に問題があることが指摘されていた。

 この問題は、国産化を断念してドイツの技術供与を受けることで解決したのだが。このため、主なパーツをドイツから輸入しなければならず、輸出に際してはドイツの許諾を受ける必要がでてきた。

 「K2戦車のパワーパックが国産化されたら、輸出も本格化するだろう」

 と、韓国防衛事業庁は主張しているが、その悲願はいまだ達成されず。

 また、K2戦車以外の兵器も同様で、核心部分には、ドイツや米国からの技術が多く使われ、輸出するにあったては開発国の承認を必要とする。

 この先、韓国が兵器輸出大国の夢を実現するには、他国に頼らずに戦車や航空機を開発できる技術を蓄積する必要があるということだ。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社)、近著『明治維新の収支決算報告』(彩図社、2022年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。

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