相変わらず「挺身隊=慰安婦」と教える

相変わらず「挺身隊=慰安婦」と教える

『赤い水曜日 慰安婦運動30年の嘘』の著者の金柄憲氏 出典 金柄憲公式ツイッター

「嘘を教えることは亡国の道」韓国教科書が教える「慰安婦」のウソの続き。

 リベル社の高校教科書には、「日帝が侵略戦争を遂行しながら犯した最も反人倫的な犯罪行為は、女性を戦争に強制動員したことだった」「1944年には女子挺身勤労令を公布し、12歳以上40歳未満の女性を後方の兵站支援人材として動員した。この際、挺身隊という名で強制徴発された人々の多くが日本軍慰安婦として連行された」(P209)とある。

 ここで言う「女子挺身勤労令」は1944年8月23日、朝鮮でも日本と同時に公布されたが、朝鮮総督府は条件が整っていないとして実際に発動しなかった。

 「12歳以上の少女」を慰安婦にしたという虚偽は、国民学校(小学校)卒業以上の女子を「挺身隊」として動員したことに由来するが、「挺身隊」と「慰安婦」を混同する間違いが韓国の教科書ではいまだに行われている。

 なお、三菱重工業に対する損害賠償判決で今、現金化が問題となっている「女子勤労挺身隊」の原告らは、「女子挺身勤労令」公布前の1944年5月、国民学校の校長らの斡旋(あっせん)を受けて「志願」して日本に赴いた人たちで、いわゆる「強制徴用」とは違う。

少女を拉致、拷問、性暴力や虐殺の記述も

 さらに東亜出版の教科書には、「日帝は軍慰安所を設置し、敗戦時まで韓国をはじめ植民地と占領地の女性たちを日本軍慰安婦に動員し、恐ろしい生活を強要した。被害者たちは殴打や拷問、性暴力などで、一生治癒し難い苦痛の中で生きなければならず、一部は反人倫的犯罪を隠蔽しようとする日本軍に虐殺されたりもした」(P195)とある。
 
 慰安婦虐殺の主張は、2021年1月8日の慰安婦損害賠償請求訴訟の判決文にも登場し、「慰安婦が逃走する場合、日本軍が直接追撃して逃走した慰安婦を再び慰安所に連れて行ったり、射殺したりした」とある。

 これについて国史教科書研究所の金柄憲(キム・ビョンホン)所長は、韓国政府に対し「虐殺された慰安婦に関する情報があれば公開してほしい」という情報公開請求を行ったが、政府の回答は「情報不存在」だった。

 つまり、「虐殺された慰安婦」という証拠は存在しないということだ。

慰安婦記述は子供の精神的健康を害する情緒的虐待

慰安婦記述は子供の精神的健康を害する情緒的虐待

9月にドイツで展示された慰安婦像を触れる子供たち 出典 正義連公式フェイスブックページ

 「慰安婦の本質は貧困であり、私たちの国の恥ずべき過去を他国に転嫁してはならない」と金所長は訴えるが、韓国の教科書では相変わらず、強制動員や日本軍性奴隷、処女供出(挺身隊動員)、慰安婦虐殺など、すべて証拠のない虚偽を教えている。

 それだけではない。「慰安婦(売春婦)」は成人の領域に属する概念であり、教科書での「誘拐、拉致、拷問、強姦、性暴力」などの言葉の使用は、成熟していない児童・青少年の精神的健康を害する情緒的虐待であり、日本に対する漠然とした憎悪心を助長する犯罪行為だと金所長は言う。

「嘘をつかない」が唯一の解決策であり国益でもある

 それではこうした教科書の中の慰安婦記述を解決する方策とは何か。

 「日韓間の慰安婦問題は、まず先に日本で始まり、挺対協や正義記憶連帯が慰安婦の経歴がある貧しい老人たち前面に出し、国民を欺き、世界の人々を欺いた国際詐欺劇だ」と主張する金所長は、『嘘(うそ)をつかないこと』こそが唯一の解決策であり、国益になると訴える。

 うそをつかない時、相手からの信頼を得ることができ、信頼を得ることこそが国益と直結するからだ。

 韓国の子供たちが、勉強している教科書に収録された慰安婦の記述はすべて嘘だという金所長は、「未来を担う若い世代にうそと憎悪を教えることは、日韓間の葛藤と対立の種を蒔(ま)き続けることになる」とも主張する。

 金所長は、自身がいくら「親日派」「売国奴」と罵倒されようとも「うそをつくこと」こそが「亡国の道」であり、「うそをつく者」こそ「亡国漢」だと断言し、韓国で慰安婦詐欺が消え去り、子供たちの教科書に歪曲・捏造された慰安婦の記述が削除されるその日まで、戦いをやめない、と決意を語っていた。

小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)
NHK香港支局長として1989~91年、1999~2003年駐在。訳書に許家屯『香港回収工作 上』、『香港回収工作 下』、パーシー・クラドック『中国との格闘―あるイギリス外交官の回想』(いずれも筑摩書房)。2019年から2022年8月までKBSワールドラジオ日本語放送で日本向けニュースの校閲を担当。「ノッポさんの歴史ぶらり旅」をKBS日本語放送のウェブサイトとYouTubeで発表している。

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