異なる立場双方から出版される慰安婦関連本

異なる立場双方から出版される慰安婦関連本

「慰安婦は強制だったのか?」と聞かれたらどう答えるのか

 日本と韓国の間で、今も責任論議が続いている慰安婦問題。立場によって極端に主張が違い、今も双方の陣営から関連の書籍が相次いで出版されている。

 焦点の1つに「強制性」がある。朝鮮人女性は慰安婦になることを「強制」されたのか。慰安婦として強制があったのか。このような質問をされたら、どう答えるべきだろうか

 最近出版された『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(大月書店)は、一橋大学社会学部の学生たちが、日韓の間にある問題を、素直な視点で書いている。

 韓流ドラマや音楽は好きだけど、韓国政府の姿勢は理解できないと「モヤモヤ」している人が多いためか、この本は発売直後に品切れになる人気となった。

 強制については、「あった」と認めている。

「日本は人権侵害の戦争犯罪を行った」

 ただし、「近年、日本政府は物理的暴力による強制連行の有無に議論の焦点をあてています。しかし、どんな方法で連れて行かれたにせよ、『慰安所』で女性たちが性奴隷状態にあったこと、そして民族差別、ジェンダー差別・階級差別に基づき人権を侵害する戦争犯罪を日本という国家が推進したことが問題の本質なのです」と書いている。

 つまり、「慰安婦」の女性たちは、自分が置かれる環境について十分知らず、逃げ出すこともできなかった。だから広い意味で強制性があったと表現しているのだ。

 この記述の背景には、河野洋平・官房長官談話がある(慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話)。

河野談話は1993年に出された、慰安婦に関する日本政府の公式な見解だ。

 談話の中には1か所だけ「強制的」という単語が出てくる。

 「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった

 「これ」というのは、慰安所の設置、管理および慰安婦の移送などを指す。

「河野談話を悪用している」

 「強制はなかった」派の人たちは、この談話について「悪用・誤用が続いている」と批判している。

 『日韓「歴史認識問題」の40年 誰が元凶か、どう解決するか』(西岡力著、草思社)は、日韓間の歴史論争をまとめた本で、資料的な価値がある。気になって数えてみたら、約370ページのこの本の中に慰安婦や徴用工などに関連し、強制という単語が約300回以上出ている。よほど、腹に据えかねているのだろう。

 西岡氏が「強制は誤り」として挙げているものに、外務省ホームページの記述がある。

 そこには確かに、慰安婦問題に関して「これまでに日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とある(歴史問題Q&A|外務省 該当箇所は問5の2)。

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