中国製以外を希望?

中国製以外を希望?

北朝鮮の新義州と国境を接する遼寧省の丹東

 「日本の100円ショップから雑貨を輸入できないか?」

 と、中朝国境の丹東に駐在する北朝鮮関係者から朝鮮族貿易商へ相談があったそうだ。

 具体的な店名を挙げて打診してきたそうだが、今回は大手100円ショップ企業としておく。

 相談してきたのは、丹東に駐在する対外経済省の関係者とみられる。

 今後、生活雑貨の需要に供給が追いつかないと予想されるので、日本の100円ショップの商品を仕入れたいとのことだった。

 しかし、奇妙なことに中国製以外を希望しているという。

コロナ禍で脱チャイナが加速

 数年前まで日本の100円ショップは9割以上が中国製だったが、近年は中国での人件費の高騰などもあり中国製の割合は減少傾向にある。

 加えて、新型コロナウイルスでの都市封鎖(ロックダウン)による工場の停止などチャイナリスクが顕在化したことも大きい。

 中国政府は、世界初の新型コロナのパンデミックを発生させた湖北省武漢を含む新型コロナの情報をいまだに隠蔽(いんぺい)し続けている。

 この不透明さは、世界に中国政府の実態を強烈に暴露することになった。

 さらには、すでに世界のどの国も実施していなかった2022年の段階でも、繰り返されたロックダウンにより、チャイナリスクは急上昇。脱チャイナが加速することになった。

 現在、代表的な100円ショップが販売する商品の中で、「MADE IN CHINA」の割合を公開している会社は確認できないが、消費者視点で見ると、6、7割くらいに低下しているのではないだろうか。

 コロナ禍で割合がさらに増えたのは、日本製やベトナム製で、中にはタイ製、パキンスタン製なども以前と比べると増えている。

過去にもある第3国経由で北朝鮮へ渡る日本製品

 相談を受けた丹東の貿易商は、生活雑貨は国連安全保障理事会が禁止する贅沢品には当たらず、制裁対象外だが、ベトナム製であっても日本企業の商品を北朝鮮へ輸出することは難しいと答えた。

 すると、北朝鮮関係者は、日本の100円ショップがタイやシンガポール、台湾にもあることを知っていて、これら第3国から輸入できないかと突っ込んできたそうだ。

 北朝鮮国内では、なぜかキリンのビールやポッカの缶コーヒー、東洋水産のインスタント麺など日本製品が売られていることが確認されている。

 また、先日KWT伝えように、セイコーの腕時計5000個あまりが北朝鮮へ持ち込まれて子供たちへプレゼントされた。

 なぜ、中国製以外を希望しているのかは定かではない。

 しかし、第3国から日本企業が販売する雑貨が大量に北朝鮮へ持ち込まれたことが確認されたら、該当の日本企業は、説明に追われることになりそうだ。

 再開された中朝貿易では、医薬品や建築資材を多く運んでいたようだが、それらが一段落したのかもしれない。

 北朝鮮庶民の不満解消のために、安価で良質な民生品を確保しようという動きなのであろうか。

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA